今年もよろしくお願いします。

本の整理  年末年始は家にいて、片付けをしました。しかし昔のように窓を拭き網戸を洗うような大掃除までは行きません。通常の掃除をして、チョコチョコと家周りのゴミを拾い、嫁は台所を拭き掃除、私は新聞を片付けました。
 最大の仕事は、預かった映画関係の本を片付けることでした。高さ180cm幅80cmの本箱を一つ買って、そこに入れました。すぐに、これは全部を入れるのは無理だとわかりました。次の日もう一つ買ってきました。
 そして何とか押し込みました。すべての棚に本を二重に入れて、それでも入らないのでチラシとシネフロントは脇に積みました。パンフレットを含めておそらく700冊以上ありそうです。その分量をいいますと、本をくくっていた紐でゴミ袋が一杯になりました。


 映画関係図書は、並みの図書館以上でしょう。少しずつ読もうと思いますが、全部読むのは生涯かけても無理ですね。しかしこれで「映画批評」誌の映画論ノートのネタに困ることはありません。
 本当は、私の持っている映画の本もこっちに移そうと思っていましたが、それは無理です。暇を見つけて、この本を作者別に整理しようと思います。どんな本があるのか、じっくり見るのは楽しみです。
年賀状
 今年もたくさんの年賀状をいただきました。ありがとうございます。私の年賀状にはいつものように2011年に読んだ本、見た映画からお薦めをそれぞれ3つずつを上げておきました。
 映画は『人生、ここにあり!』『一枚のハガキ』『ゴーストライタ−』。本は『生命の研究はどこまで自由か』『原発を終わらせる』『記憶せよ抗議せよそして、生き延びよ』です。
 映画は、ここですべて紹介していますが、本は『抗議せよ・・・』だけしか載せていません。本の紹介は少なくて、しかも佐々木譲が何度もでてくるという偏り方で、いろいろな原稿を書くために、かなり読んでいますが、その本を紹介していません。
 ネタ本を隠すという意識があり、またこのブログの性格上、映画が多くなるのは仕方がないのですが、いい本はやはり多くの人に読んでほしいと思うので、いい本は紹介しようと思います。
『生命の研究はどこまで自由か』臏島次郎、岩波書店
 それで、まず『生命の研究はどこまで自由か』ですが、これは1月例会『わたしを離さないで』を書くために読んだ本です。著者が4人の科学者(池内了長谷川眞理子、勝木元也、田川陽一)と対話し、それを元に生命科学を考えるというものです。これを選んだのは池内先生が入っていたからで、著者も含めて他の人はまったく知らない人ばかりです。
 読んだ感想は、映画を見る視点を与えてもらっただけではなく、この本のテーマである学問、科学と人間社会の関係や、自然と共生する生き方について、多くの示唆を与えてくれました。「素晴らしい」という賛辞を捧げます。
 キーワードは「自然の枠組み、自然の循環」をどう考えるのかということです。人間は、その誕生以来、自然を利用して文明、文化を作って来ました。20世紀に入って、人間の経済活動は、その枠組みを壊すようになっています。それはどういう社会を作り出すのか、まったく未知の世界です。それに対する指標が示されています。
 この中で紹介されている、日本の分子生物学の先駆者、渡辺格さんの本を買いました。
 この本を選んで、わたしの本を選ぶ嗅覚に自信を持ちました。
原発を終わらせる』石橋克彦編、岩波新書 
 これは[3.11]ごに出された本で、そのタイトルを明確に目指しています。石橋先生以外13人が、福島の原発事故、原発が持っている問題、そして原発を終わらせるために、問題提起をしています。タイトルと著者を紹介しておきます。
Ⅰ 福島第一原発事故
原発で何が起きたか」田中三彦
「事故はいつまで続くのか」後藤政志
福島原発避難民を尋ねて」鎌田遵
Ⅱ 原発の何が問題か−科学・技術的側面から
原発は不完全な技術」上澤千尋
原発は先の見えない技術」井野博満
原発事故の災害規模」今中哲治
地震列島の原発」石橋克彦
Ⅲ 原発の何が問題か−社会的側面から
原子力安全規制を麻痺させた安全神話吉岡斉
原発依存の地域社会」伊藤久雄
原子力発電と兵器転用−増え続けるプルトニウムのゆくえ」田窪雅文
Ⅳ 原発をどう終わらせるのか
「エネルギーシフトの戦略−原子力でもなく、火力でもなく」飯田哲也
原発立地自治体の自立と再生」清水修二
「経済・産業構造をどう変えるか」諸富徹
原発のない新しい時代に踏み出そう」山口幸夫
 あらゆる面で完璧に、原発を終わらせる論でした。