山田和夫さんのお別れ会

11月4日西新宿の超高層ビルのレストランで「山田和夫さんのお別れ会」があった。

脳梗塞に倒れ、3年間の闘病生活があったから、悲しいという感情は沸かなかった。
多くの人から山田さんとの思い出話を聞き、改めて映画界における得がたい、代わるもののない存在であったことを知らされた。
日本映画は厳しい時代が続いているし、いわゆる「民主的」といわれる分野は、その中でも苦労が続いている。山田さんはそういった情勢に負けずに頑張る男の象徴みたいなものだったのかと思った。
多くの人を励ましている。
「そもそも論」なんてことを全国映連でも言っていたが、それを各分野の責任者に話していたようだ。
私は、それに少し反発も覚えていた。そこから、どう進むのかが出ない話は堂々巡りなる。そこまでの話ならしたくない、昔を懐かしむだけでは駄目と思っていた。しかし山田さんはもう少し先のことを考えていたように思う。答えはないが、今の情勢を打破するための試行錯誤をはじめていたように感じた。
ただ、それがどの程度、周囲に伝わっていたかはわからない。
今日の話でも、明確に山田さんの意志を継ぐといったのは少数だったように思う。
やはり現状を打破する、その意気込みだけは大事にしたい。
その中で、この人はまだまだやりそうに思った。

辻井喬、山田さんより年上だそうだが、容姿ではたしかに80歳を超えている。しかし書いているものは若々しい。挑むものを感じる。
この人の文芸評論は面白い。詩や小説のよさは、正直に言って私にはわからない。松本清張論もよかったけれども、司馬遼太郎論もいい。この分野での新しいものを、もっともっと読みたい。
この人と山田さんの付き合いも面白そうだ。60年にわたる付き合いだ。〆は「今でも気持ちは同志だ」という最高の贈る言葉だった。