5、6月の映画『県庁おもてなし課』『オース、バタヤン』

 毎月、例会も含めて4,5本の映画を見ています。全ての映画に感想を書ければ良いのですが、そこまで行きませんから、映画の評価は別にして、多少でも何か残ったものを書いていきます。
県庁おもてなし課は決して面白い映画、いい映画という評価ではないのですが、行政職地方公務員を主人公にしている、これまでの映画『生きる』『柳川掘割物語』『県庁の星』『歓喜の歌』と比較しながら見ていました。

 一番気になるのは「公務員は馬鹿だ」「公務は非効率」だという前提で考えているのではないか、地方自治をあまり考えていないのではないか、ということです。その点では、原作も読みましたが映画とほとんど同じ考え方です。
 「おもてなし課」といっていますが、高知県を売り込む、観光の仕事です。それが映画では「全県レジャーランド」で動き始めます。その中で若い二組のほのかな恋愛とか絡めて、それはそれで良いのですが、私には公務労働の面でおかしいところが多くあり過ぎて、駄目な映画です。
 一つだけあげると、観光部門の県の役割は、基礎的自治体、観光事業者、住民を繋げることだと思いますが、映画も原作もそういうところがありません。そもそもそういう人が出てきません。高知県の市町村の地方公務員と話をするところがないというのは、どうかなと思います。
 ホンモノの高知県おもてなし課のHPを見ると、さすがにそれはきちんと押さえているようです。
 この映画は、そういう公務労働ではない、たわいのない恋愛映画だと見ればいいのでしょうけど。
『オース、バタヤン』田端義夫さんのドキュメンタリーです。『こまどり姉妹がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』に続く昭和の歌謡大スターを描いた傑作です。

 この4月94歳でなくなられた田端さんですが、昔からこの人の歌には惹かれてきました。改めてこの人の人生を見ると、その魅力の源は彼の生き方であったのかと思います。
 2006年鶴橋の小学校の体育館のコンサート、彼が「第2の故郷」とよぶ大阪の小さな会場で、主にじいさんばあさんを相手に歌う映像をベースに、色々な人のインタビュー、過去の映像を交えています。
 10人兄弟の9番目、父親を早くになくして極貧生活、栄養失調で隻眼になります。歌謡コンクールで優勝して歌手に。「大利根月夜」「玄海ブルース」「19の春」「帰り船」「島の船歌」が好きです。
『海と大陸』はイタリアの観光小島の、表と裏を描きます。

 アフリカからの難民を取り上げる映画は多くありますが、これもその一つです。イタリアに限らず、これはEU全体の大きな問題だと、それは感じます。
『人生の特等席』はC・イーストウッドの主演ですが、がっかりです。プロ野球のスカウトマンですが、ちょっと安易です。
『はじまりの道』木下恵介の映画監督へ歩むきっかけを作ったエピソードの映画です。しかし彼の映像的思考が描かれていません。来年、特集を組む予定ですが、日本映画の最高の映画監督である木下恵介の特徴を把握する必要があります。
『二流小説家』は日本で高い評価をされている米国のミステリーを原作に、日本に翻案していますが、もう一つ面白さを感じません。