2月例会学習会「東南アジアの日本軍と戦争犯罪〜捕虜虐待をめぐって」永田喜嗣氏

2月例会は『レイルウエイ運命の旅路』です。この映画はアジア太平洋戦争の際に、大日本帝国陸軍が実際に建設した泰緬鉄道をめぐる実話に基づいて作られました。
この鉄道建設は連合軍捕虜や東南アジアの労働者に大変な重労働を強いて約10万人の犠牲を出しました。(詳しくは映画サークル機関誌の「背景」を読んでください。私が書きました)
このとき、捕虜となって大変な拷問を受けた英国兵士が自分の体験を書いたものが、この映画の原作です。戦後、彼は日本の憲兵隊通訳であった日本人兵士と邂逅し、憎しみを超えて和解に辿り着きます。その辺りは解説を読んでください。
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それで、今回は抗日映画を研究しておられる永田喜嗣さんに来ていただいて、2月12日標記のタイトルでお話していただきました。
抗日映画が入ってこない

 永田さんは歴史を研究されていると言うのではなく、抗日反日といわれる映画の研究者で、必然的に戦争映画が多くあり、実際の歴史はどうであったかを学ぶことになると言われます。
 そして日本では抗日反日といわれる映画を見ることが非常に少ない、中国等たくさん作られているがほとんど入ってこないし、輸入しても一般劇場での上映は非常に少ない。それは規制しているのではなく、そういう映画を上映すると、右翼等にスクリーンを切られたという事件があり、また街宣車が来る、ということで配給会社や映画館主が敬遠しているから、です。
 しかも日本人自身が大日本帝国軍や日本人が悪者として登場してきたり、ついにはばったばったとやっつけられる、というのを見るのが嫌い、ということもある、と言われました。
 ドイツ人がいつもナチスドイツが悪役でやられる映画を平気(でもないかもしれないが)で見ているのに比べて、日本は世界の悪役であったと言うことを、直視することが出来ないのです。
自虐と言うが
戦前、戦中において日本軍や日本人が非人間的な行為をしたと、例えば南京大虐殺731部隊慰安婦問題を向き合うことを、一部の「愛国者」は「自虐史観」といいます。
あるいは橋下大阪市長のように「どこの国でもやっている」から、と開き直ります。
その辺りがドイツと違うようです。ドイツはナチスを「徹底して」追及します。彼らには時効がありません。しかし裏では、アメリカに「活用された」ナチスの高官もいます。だから色々な面を持っていますが、ドイツ政府自身がナチスを許さないと言う立場です。
ここが日本との根本的な違いです。
岸信介正力松太郎といったA級戦犯をいまだにかつぎ上げている国民性です。瀬島隆三や辻正信、大日本帝国軍部の最高幹部に何も追求しない国民性ですから、東京裁判史観を指して、とても自虐とはいえないと思います。