12月の映画

12月に見たのは『ヨーヨー・マと旅するシルクロード』『永遠のジャンゴ』『オペレーション・クロマイト』『ザ・ウォール』『夜もやっている保育園』『密偵』『リュミエール』『明日へ−戦争は罪悪である』『ビジランテ』『火花』10本でした。これで2017年は119本です。よく見ました。
韓国映画の敵役
韓国映画密偵』が面白かったですね。1920年代の朝鮮半島、日本の植民地時代です。独立運動の義烈団とそれを取り締まる日本警察の側にいる警官(ソン・ガンホ)の対立と交流が、割と単純に描かれたエンターテイメント映画といっていいと思います。

決して日本と韓国の歴史問題に踏み込むという社会派映画ではありません。でも独立運動派は正義で取り締まる警察(日本側)は悪になります。冒頭やソウル駅での大捕り物のシーンでは、ドンパチやって警官はなぎ倒されるように死にますが、彼らの多くは朝鮮人警官です。

この映画の見所は、義烈団をさぐるソン・ガンホが警官でありながら、義烈団側からも「愛国者」として警察情報提供者に仕立てられると言う、役回りを演じるところです。
彼は警察のトップである日本人、東警務局部長(鶴見辰吾)に信頼されているのですが、同僚にハシモトという名前も変えた朝鮮人警官は、疑惑の目で見ています。彼らは対比的に描かれます。
ここに知日派批判があるように見えました。
戦前の朝鮮半島では日本側、それに協力する朝鮮人が敵役です。
同時期に見た『オペレーション・クロマイト』は朝鮮戦争の仁川上陸作戦を描いたものですが、これの敵役は北朝鮮軍でした。勇敢な韓国軍兵士とそれを助ける米軍、彼らと対照的に非人間的な北朝鮮軍、「共産主義」思想が描かれています。
韓国映画では日本と北朝鮮が無条件で敵役です。
現代の描き方
邦画はドキュメンタリー『夜もやっている保育園』が良かったですね。夜働かざるを得ない親を持つ子どもを預かる保育所ですが、公立は少ないようです。

昔、保育所に入る子供は「かわいそう」と言う見方がありました。でも今は「子育ては親の問題」から社会全体の問題になっています。だから行政の責任が重たいと思います。
この映画に出てくるのは民間の保育所ですが、保育の質もとても頑張っていると描かれています。職員の研修や給食、子どもの心身のことなど、ちょっといいところばかりのような感じです。保育士が足らない問題が描かれていません。
『火花』は又吉直樹原作の映画化です。ちょっと期待しましたが、私にはよさがわかりません。

二組の漫才師が中心ですが、笑いを生み出すのは何か、彼らはなぜ漫才をするのかが伝わってこないのです。そして彼らが生きている芸能界もよくわかりません。
それ以上につまらなかったのは『ビジランテ』でした。