5月の映画

5月は『コスタリカの奇跡〜積極的平和国家の作り方〜』『ザ・スクエア 思いやりの聖域』『風雲城史』『ロンドン、人生はじめます』『ニッポン国VS泉南石綿村』『新幹線大爆破』『昭和残侠伝唐獅子牡丹』『憲法を武器として』『タクシー運転手』『ローマ法王になる日まで』『フロリダ・プロジェクト真夏の魔法』『グレイテスト・ショーマン』12本です。
 この内『新幹線大爆破』と『フロリダ・プロジェクト真夏の魔法』『タクシー運転手』を紹介します。『コスタリカの奇跡』は8月例会ですし、西神ニュータウン9条の会のHPで紹介しました。『ローマ法王・・・』は5月例会で解説も書いていますし、感想は機関誌に投稿します。
 『風雲城史』なんて戦前の映画を弁士付きで見ました。他にも『憲法を武器として』とかありますが、3本に絞りました。
新幹線大爆破』(1975)

主演は高倉健宇津井健で、佐藤純彌監督の結構面白いパニック映画です。高倉健が新幹線に爆弾を仕掛ける犯人役で、山本圭が共犯者、宇津井健が新幹線の運動管理責任者の鉄道マン、千葉真一が運転士、その他にも渡辺文雄、龍雷太、丹波哲郎鈴木瑞穂、端役で小林稔侍、岩城滉一なども出ています。
新幹線に速度が80㎞以下に落ちると爆発する爆弾を仕掛けた犯人が、500万ドルの身代金を国鉄に要求する話です。
走り続けないといけない、東京から博多までの間に解決しないといけない等の制約があり、色々な困難を挿入します。しかも新幹線特撮も見られるものになっています。
ただ、犯行の動機が会社の倒産というのは弱い気がします。
この映画で秀逸だったのは、国鉄側が乗客の安善を第一に考えるのに対して、警視庁は犯人逮捕にあせって失敗を繰り返すと描いたところです。
昨今の警察、検察を描くテレビドラマは権力の怖さを描きませんが、40年前の映画はそこをしっかりと描いています。
『フロリダ・プロジェクト』
これは夏のフロリダ、ディズニーワールドのそばのモーテルで暮らす子どもたちの日々を描きます。まだ小学校に上がっていないような子ども達3人がいたずらしながら遊んでいます。彼らは毎日楽しそうです。

モーテルはアパートではなく宿泊施設です。そこに住まないといけない親たちは定職もなく、その日暮しのような不安定な生活です。回りの大人たちは知っているし、子どもたちの生活に時折、影が差し、顔が暗くなります。
最後に児童家庭局がやってきて、そのような暮らしに終止符が打たれます。当然、彼らの親の暮らし振りが映画の本質です。アメリカの現実です。
子どもは放火等、度を過ぎたいたずらをするのですが、見終わってとても怖くて哀れな感じです。
『タクシー運転手』
光州事件、1980年韓国光州市で、軍事クーデターに反対し民主化を要求する市民のデモに対して、軍隊がものすごい暴力をふるい、最後は銃を向けた、韓国現代史の汚点です。

この事件が起きているとき、韓国メディアは一切報道しません。戒厳令が敷かれていて、軍部がすべてを高圧的に支配していますが、新聞もテレビも目をふさいでいました。それをドイツ人ジャーナリストがタクシーを使って光州に潜入し、惨状をカメラに収めたという、筋としてはいわば単純な映画です。
市街地で市民に向けて銃を撃つ軍隊、市民に殴りかかる警官など、ものすごく醜悪です。
しかしさりげなくタクシー運転手を見逃す軍人もいたことも描きます。
『弁護人』など、韓国映画がこの時代を積極的に取り上げ出したのは、文在寅大統領になった影響が大きいと思います。「韓国人はこれを忘れるな」と言う強い主張が見えます。