10月例会『ロープ-戦場の生命線』学習会

「旧ユーゴスラヴィアの紛争と国際社会」というタイトルで、中内政貴(大阪大学国際公共政策研究科准教授)さんからお話を聞きました。
第2次大戦後のユーゴの歴史や民族の状況、そして内戦に至る状況を詳しく聞きました。
ナチスドイツの侵略をチトー率いるパルチザンの戦いで打ち破った国、しかも社会主義体制ですがソ連からの独立していることで、戦後の国際社会の中で独自の権威ある立場をもっていました。
7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国といわれるように、とても複雑な要因を持った国で、第2次大戦の英雄チトー大統領のもとで連邦共和国を保ってきましたが、彼の死後、連邦は内戦、解体と辿りました。
映画はその内戦がようやく終わった時期1995年の、田舎の村の話です。

チトーの時代は共産党1党独裁でしたが、その後、ベルリンの壁崩壊、東西冷戦構造の崩壊という、国際的な混乱がユーゴに押し寄せました。そして複数政党での「民主主義」が始まり、民族主義の政党が国民の支持を集めて、「民族自決」の原則に従って、独立運動を活性化します。共和国が競うように独立をしますが、その仲の民族が複雑に混在している事から、それに反対賛成があり、他の共和国から軍隊が来たりして、内戦、隣同士が、民族が違うから、宗教が違うからということで殺し合い、戦争が始まります。
セルビアは一番大きな共和国で、人口の多い民族です。しかも歴史的にロシアと近い関係を持っていました。そのことから米国に敵視され内戦の悪玉に仕立て上げられたようです。
中内先生は「民族浄化」というの米国の宣伝によって作り上げられたといわれました。
内戦の責任を単純に誰かに押し付けることが出来ない、というのを学びました。
一応、戦火は収まったように見えますが、そうは行かないようです。こんがらがった糸をどうして解くのか、非常に難しい問題です。
映画は、その複雑さを描かず、戦争は民族や宗教等の対立とは別のところに原因を持っていると描きました。
とてもいい映画です。
10月19日20日神戸アートビレッジセンターで上映します。
神戸映画サークル協議会のHPを見てください。
https://kobe-eisa.com/