11月の映画

『ジェイン・ジェコブズ:ニューヨーク都市計画革命』『教誨師』『1987、ある闘いの真実』『ビブリア古書堂の事件簿』『ナチュラルウーマン』『鈴木家の嘘』『人魚の眠る家』『日日是好日』『華氏119』9本でした。
世界最大の権力者を告発する
マイケル・ムーアのドキュメンタリーは美しくなくて、あまり好きではなかったのですが、今回の『華氏119』は、そういう問題を通り越して評価します。

トランプ大統領に正面から対峙していますし、そればかりかオバマ前大統領の犯罪をも暴いています。今までもそうでしたがアメリカ社会の問題はなにかまで踏み込んだドキュメントです。
とりわけ共和党民主党に変化があると描いていますが、それは資本主義万歳であったアメリカ社会に、違う価値観を持つ人々が現れたという希望でもあると思います。
バーニー・サンダース等の社会主義を評価する声が出ていることを、この映画だけではなく色々と聞きます。
1987、ある闘いの真実』もいい映画です。西神ニュータウン9条の会のHP(http://www.ne.jp/asahi/seishin/9jyonokai/)に書いていますので、この映画はそちらを読んでください。
良さそうだが
大杉蓮主演の『教誨師』は、面白く感じた面もありますが、教誨師自身の過去の出来事(兄が殺人)が、どのように彼を牧師としての職業を選ばせ、また教誨師になったのか、納得しそうで腑に落ちない、そこに拘って「面白い」とは言い切れません。
タイプの違う6人の死刑囚と色々と話をしていきます。人間のカタログのような感じです。ヤクザ、ストーカー、ホームレス、社会的弱者を排除する確信犯、喋りのオバサン、一見普通の父親、彼等は殺人を犯した人間で「ちょっと変」ですが、人の良さそうな面も見せます。
彼らの犯した犯罪を垣間見せるだけで、くだくだとした説明はないのですが、裁判官に死刑を選択させたものはなにか、それを入れるべきではないか、と思います。

人の死をどのように受け入れるか
脳死となった幼女を、生かしつづけ、しかも科学の力で体を動かせるようになる、という発展変化を見せて、いつか「目が覚める」のではないかという錯覚を与えると、人はこうなる、という映画でした。
人魚の眠る家』は東野圭吾の原作で上手な構成と話の運び方です。しかも篠原涼子が母親を熱演しています。

体は成長するが、脳死は変わらず意識はまったくない。いつ「この子は死んだ」と受け入れるのか、どうすれば最愛の子をあきらめるのか、そんなことを考えさせられる映画でした。
後味はあまりよくありません。
『ジェイン・ジェコブズ』はまちづくりに独自の視点を提起したジャーナリスト、市民運動家です。彼女の「大都市の死と生」を読みましたが、翻訳が悪くてちょっと理解できませんでした。彼女の考え方は「人間が住む街」はどのように作るのか、という視点、思想で、専門的な都市計画家の考え方を批判しています。
しかし映画に彼女の思想が映像化されているかといえば、そうでも無い様に思いました。
『ビブリア古書堂の事件簿』は駄目、典型的な駄作。
ナチュラルウーマン』は例会でした。いい映画です。きちんとした感想を書きます。
『鈴木家の嘘』は、息子の死のショックで記憶を失くした母親に、息子が生きているよう、事実を隠す家族の話です。コメディタッチにしていますが、話に無理があります。
最愛の人の死の受け入れ方、これがおかしいと思います。
日日是好日』は樹木希林の遺作でヒットしています。黒木華と田部未華子も出て豪華な配役ですが、お茶を習い続けた20年というだけで、是といったものを感じませんでした。