『量子力学が見る見るわかる』橋元淳一郎『量子論を楽しむ本』佐藤勝彦

 今年読んだ本で感銘を受けたものを少しずつ紹介していきます。

 相対性理論量子力学を理解したいと思っているので、断続的にですが、その関係の一般社会人向けの啓蒙書を読み続けています。今年に入って量子力学関係を2冊読みましたが、今までと違って少し理解が進んでように思います。

 相対性理論も難しいですが、まだイメージできます。光速に近い速度で移動すると時間が遅れるというのは、光速が30万㎞/秒であることを認めると「ソウイウモノカ」と思います。

 しかし量子力学で説明される現象は我々の生活レベルでは感覚的に合わないのです。現在では量子力学は、その理論を使って多くの電気製品が生み出されているのですが「利用できても理解できない」と言われるほど難しいと書かれてありました。

 『量子力学が見る見るわかる』『量子論を楽しむ本』を読んで、今までバラバラに見えていた説明がひと続きのものであると見えるようになりました。「不確定性原理」「場の量子論」「粒子と波の性質を併せ持つ」「真空は何もない?」「神はサイコロ遊びを好まない」「シュレディガーの猫」「ベルの不等式」等の言葉を知りましたが、それらを結び付けて考えられるようになってきました。

 それを分かるように説明するのは、私の理解では無理ですが、量子力学が原子や電子よりも小さい単位の世界で起きる現象を取り扱う原理だということにようやく納得がいきました。

 ニュートン力学で説明される人間サイズ単位の世界も、それを形造る原子によってつくられていますから、現象的には量子力学の影響がわかるようには出てこないが、原理原則は量子力学に支配されています。

 そしていずれ宇宙サイズ単位の現象を説明する相対性理論と統一された法則となるだろうと思います。

 この2冊で何を一番感じたかと言えば、真空は何もない空間、という理解でしたが、そうではなく電子と反電子で埋められている、ということです。それらは打ち消し合って消滅するのですが、その誕生と消滅が極めて短時間に繰り返されている、という説明に、あっと感じました。

 宇宙は「エーテルの海」で満たされて、光はそれで伝わる波という説が否定されので、宇宙はほとんど真空で、そこはなにもない、と思っていた。しかし真空にはダークマター、ダークエネルギ-があるという、そういうこととも繋がってくるのかもと思います。

 去年読んだ『巨大ブラックホールの謎』(本間希樹)と合わせて考えると、宇宙論もどんどん変わっているようです。