12月は『国家が破産する日』『決算忠臣蔵』『家族を想うとき』『イミテーション・ゲーム』『アルキメデスの大戦』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ☆アディオス』『大脱走3』『SHADOW/影武者』『帰ってきたムッソリーニ』9本です。よく見ました。
『国家が破産する日』は現代史を批判的に描く韓国映画。1997年の通貨危機のもとIMFの支配に入っていった韓国、この時から新自由主義の政治経済の国家体制に入っていきます。誰がそこへ導いたか、私は分かりませんが、韓国民にはわかるようにつくられていると思います。怒りを感じました。
『決算!忠臣蔵』も事実にもとづいた忠臣蔵です。大石内蔵助が残した『預置候金銀請払帳』(討ち入りまでの「決算書」)を読みといた「『忠臣蔵』の決算書」(山本博文/新潮新書)を原作にして脚本、映画化しています。
誰でも知っている物語ですが、それをお金の流れに沿って描くので結構面白い。岡村が矢頭右衛門七の父、赤穂藩の会計責任者、長助を演じていて、いい味を出しています。
出演者が全員、吉本の芸人で大阪弁をしゃべるのはどうか、と思いましたが、面白く見ました。
『家族を想うとき』はケン・ローチ監督の最新作。英国の新自由主義政治経済体制の下で宅配業者がどのように働いているかを描きました。西神ニュータウン9条の会HP1月号に書きましたので、読んでください。
http://www.ne.jp/asahi/seishin/9jyonokai/
『イミテーション・ゲーム』は第二次世界大戦時、英国はドイツの暗号機エニグマを解読しましたが、それに従事しコンピューターの原型を作った天才数学者を主人公にした映画です。実話に基づくもので、本来なら国を救った英雄ですが、すべてを秘密にした英国軍の冷酷さや同性愛者に対する差別がよく描かれていました。
『アルキメデスの大戦』は、原作は三田紀房の漫画で18巻あって1933年~39年第2次世界大戦勃発ごろまでの日本を描いた架空戦記物(原作は見ていないので不確か)の映画化です。
映画では1933年に限定しています。海軍が新しい主要艦船を巨大戦艦(大和)にするか航空母艦にするかで揉めていた時に、巨大戦艦派を潰すために雇われた天才数学者、櫂直の活躍を描きます。
もちろん主人公は架空ですが、主要な軍人や政治家は実名を出しています。日本が「戦争へ向かう時代」のように描きますが、1933年はすでに満州事変は起こり国際連盟脱退の原因となる中国大陸へ侵略戦争に深く入っていった時代です。国内では小林多喜二が特高警察に虐殺されています。
そんな雰囲気はかけらもありません。アジア太平洋戦争があたかも米国等欧米諸国と戦争と見ているような俗論にどっぷり浸かっている感じです。
原作もそうでしょうが、脚本・監督の山崎貴の歴史観を反映したものでしょう。
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ☆アディオス』は映画サークルの12月例会でした。2000年に上映された映画に出ていたキュ-バ人歌手たちの文字通り最後のステージのドキュメンタリ-です。70,80歳の歌が世界中を感動させました。
『大脱走3』はシルベスタ・スタロ-ン主演のアクション映画、ただそれだけ。
『SHADOW/影武者』はチャン・イーモウ監督ですから期待してみましたが、映像美とアクションだけの映画でした。がっかり。中国の戦国時代の戦争です。
『帰ってきたムッソリーニ』は『帰ってきたヒトラー』のイタリア版でした。もう少し独自性を出せばいいのにと思いました。それだけ。現代イタリアを風刺しているのでしょうが、先進資本主義国の状況と同じです。