3月例会学習会「漫画マルクス・エンゲルスを語る」

今月の学習会の講師は野口美代子さん(元小学校教師、漫画『マルクスエンゲルス』の脚本を書いた人)です。

彼女は、映画『マルクス・エンゲルス』(原題「若きマルクス」)を見たあとに、マルクスエンゲルスのことを知らない日本人が多い(日本共産党の支持者でも)ことに愕然としたそうです。英国では「この1000年で最も偉大な思想家」で1位に輝くのですから(ちなみに2位アインシュタイン、3位ニュートン、4位ダーウィン)、日本でももっと知られるべきだ、と考えて「漫画にしたら多くの人に読んでもらえ、彼らのことを知ってもらえるのではないか」と思い立って、漫画本を出版までやり遂げた人です。

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2018年に企画を立て2019年に出版しています。

今回のお話は、主にはその苦労話、そしてその間に彼女が勉強して感じたマルクスエンゲルスの素顔の紹介でした。

漫画『マルクスエンゲルス1巻2巻』は、二人の生誕から「共産党宣言」を書くまでの伝記です。全世界に影響を与えた、彼らの主著である「資本論」に到達したマルクスエンゲルス、彼らの思想そのものや思想形成の過程を紹介したものではないようです(私はまだ読んでいませんので詳しくはわかりませんが)。

彼らがどんな家庭環境で育ち、どのように少年時代を過ごしたのか、そして働きだして恋をするという青春時代、終生の同志となる運命的な出会いをするわけですが、それを描いた漫画です。

脚本を書いたのが野口さんで、彼女は教師を退職した高齢者です。しかし漫画を描いたのは丸川楠美さん、セリフなどを入れた監修は円谷源さんで、丸川さんは10代、円谷さんも20代という若さです。

野口さんも含めて彼らはマルクスの研究者ではなく、漫画を描くために短期間で一生懸命勉強したのです。そしてマルクスエンゲルスが労働者や貧しい人のために、献身的な努力をしてきたことに感動したといっています。

特にエンゲルスは工場主の息子という立場にありながら、マルクスの研究と生活を支え抜きます。でもその一方で女たらしでもあったようです。

資本論などの解説本はあってもマルクスエンゲルスが人間的な成長していく過程、彼らの人生やその周辺の人々を詳しく書いた本はあまりないようです。

映画を見て漫画を読めば、彼等の本当の姿が良くわかる、と野口さんは言いました。

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今はマルクスの時代

 

 1989年のベルリンの壁崩壊の以降、「資本主義の勝利」とばかり、世界中に競争原理が跋扈しました。社会主義の思想や経済、運動などは「役に立たない」とばかりに投げ捨てられました。

 日本の大学でもマルクス経済学や唯物論哲学などは廃れているようです。

 しかしその後は、大企業は豊かになるものの労働者の暮らしは一向に良くなりませんし、「21世紀の資本」(トマ・ピケティ)が明らかにしたように、資本主義を野放しにすれば貧富の格差を広げ、地球の自然や資源などを破壊してしまいます。それが誰の目にも明らかになってきました。映画でも経済格差や貧困を描く作品が主な国際映画祭でグランプリを取っています。

 資本主義の権化の国、米国大統領候補、B・サンダースさんは民主的社会主義者を自称し、健康保険制度や学費の無償化など社会主義的な政策を掲げて大きな支持を集めています。

日本でも資本主義の限界を指摘する本も多く出ています。

今、人類の歴史を階級闘争と読み解き労働者が主役となる社会をつくることで資本主義を克服する道標をうちたてたマルクスエンゲルスの思想に、関心が集まっています。