2020年6月に見た映画

『娘は戦場で生まれた』『テルアビブ・オン・ファイヤー』『PMC:ザ・バンカー』『ルース・エドガー』『北の果ての小さな村で』『21世紀の資本』『その手に触れるまで』『完璧な他人』『ダウントン・アビー』『ハスラーズ』10本も見てしまいました。4月5月と映画館にいけなかったといえ、ちょっと頑張りすぎでした。それぞれ簡単に紹介します。
『娘は戦場で生まれた』
 シリアの中心的な大都市アレッポ、2016年にロシア空軍の無差別爆撃に破壊され、シリア政府軍に支配されました。その時、町の病院にいたジャーナリストがそこで生きる人々を映像で捉えました。

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 マグレブから起きた「アラブの春」はシリアにもおよび、市民的政治的な自由を得ようと、市民が多く市民がデモやストで立ち上がります。アサド政権の弾圧によって、それは内戦の様相となっていきます。
 市民軍の拠点となったアレッポは、紀元前1800年ごろから居住がはじまり、内戦前には人口160万人のシリア最大の都市でした。
 病院までも標的とするロシア空軍に抗して、彼女は世界に向けて「アレッポを助けて」とメッセージを発します。日々、続々と負傷した市民、子どもたちが病院に運び込まれて、血だらけの顔、手当てを受けたり、死んでいく姿が映し出されます。
 内戦という戦争で、米国やロシア、イラン、イスラエルなど入り乱れてどちらが正しいということよりも、毎日の死者を「コロナ」の報道のように出せば、国際世論は動いたかもしれないと思いました。
『テルアビブ・オン・ファイヤー』
 パレスチナの人気テレビ番組を担当している男が、イスラエルの検問所で引っかかって、そこの所長に無理やり物語を変えさせられる映画。コメディです。酔って見たのできちんと説明できません。すみません。
『PMC:ザ・バンカー』
 南北朝鮮の国境線の地下で、元韓国兵士がCIAの傭兵となって、まちがって北朝鮮の首領を誘拐しようとして、失敗します。中国や北朝鮮の攻撃にさらされながら、米軍の支援を待つという絶望的な戦闘が描かれました。
『ルース・エドガー』
疑問が残ったままで見終わった映画でした。登場人物の心理が2重3重に入り組んだ作りになっています。短い感想を西神ニュータウン9条の会のHPに書きました。
『北の果ての小さな村で』
映画サークル市民映画劇場の再開した映画です。グリーランドのものすごい田舎、80人の村にやってきたデンマーク人の若い教師が主人公にした、ドキュメンタリーに近い劇映画です。とても癒し系でした。
21世紀の資本
 残念でした。資本主義の矛盾を描くドキュメンタリーですが、分かりにくい。経済格差を決定的に推し進めた新自由主義の象徴ともいうべき英国のサッチャー首相や米国のレーガン大統領はチラッと顔を見せるだけで、彼らがどれほど害悪を流したかをきちんと描いていません。不満な映画です。昔見たマイケル・ムーアの『キャピタリズム』のほうが、資本主義の害悪をよっぽどわかりやすく描きました。
『その手に触れるまで』
 ダルデンヌ兄弟の新たな傑作映画です。ベルギーを舞台に、そこに住むアラブ系住民のコミュニティと思春期の少年を主人公にした映画です。

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 ベルギーで生まれた彼らはアラビア語コーランで学んでいます。一人の少年が原理主義者のドグマに洗脳されて、良識的なアラビア語の女性教師を殺さなけらばならない、と思い込みます。
 どうすれば彼は救われ、元に戻れるのか、力強く描きました。感動的です。
『完璧な他人』
 韓国映画、辛辣に夫婦関係と人間関係を描きました。

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 少年時代からの友人である四十代半ばの男たちが、それぞれの妻を同伴して、その一人が引っ越した家に「引っ越し祝い」で集まります。
 そこで各自の携帯電話をオープンにするという「ゲーム」をします。すると様々な秘密が明らかなっていきます。たわいもないこともオープンになると他人も自分も傷つくことがよくわかります。浮気であり浮気まがいであり、あるいはゲイであることもさらされます。
 お互いに罵り合い傷つけあるようになります。友情も愛情も脆いもだと描かれます。
 そして結末は?。ナレーションが人間には「公的な生活、私的な生活、秘密の生活」があるといいました。
ダウントン・アビー
 イングランド郊外にある豪華なお城ダウントン・アビーに暮らす貴族の生活を描く大ヒット作のテレビドラマの劇場版。王室がやってくる、受け入れる伯爵家と従者たちのドタバタ劇ですが、王室の付け人や従者たちとの絡みがあって、たくさんの登場人物の関係がよくわかりません。
ハスラーズ』
 ストリップクラブで働く女性たちが、エリート金融マンたちから大金を巻き上げてつづけた、という実話に基づく映画。
 リーマンショック後の不況で、性風俗も大変であったが、数人の女が結束してウォール街で大金を動かし、大儲けしている男たちを酩酊させて、カードから大金をせしめる犯罪を繰り返していました。
 被害者が誰も告発しなかったというのがおもしろい。本当に困った一人の男が警察に駆け込んで、彼女たちは捕まります。一晩50万、100万円というのは、成功している金融エリートにとってははした金ですかね。