2021年5月に読んだ本その1

『日本野球よ、それは間違っている!/広岡達郎』『ファンクション7/相場英雄』『世界5月号』『解体屋ゲン』『ブンヤ、走れ~阪神淡路大震災、地域ジャーナリズムの闘い~/駒来槇』『命ドゥ宝/杉浦久幸』『山はどうしてできるか/藤岡換太郎』『ワケあって、女嫌いな御曹司の偽恋人になりました―男装女子への極甘プロポーズ―/御厨翠-』の8冊を書きます。まずは以下の3冊です。

『日本野球よ、それは間違っている!/広岡達郎』

 広岡さんは、もう少し広い視野で考えられる人かと思っていました。現在の日本プロ野球のあり様に様々な意見を言っているのは明確ですが、社会的とか国際的という観点はないようです。

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 私が常々思っているのは、日本プロ野球の最高の栄誉ある賞が正力松太郎賞であることです。「育ての親」だからということでしょうが、彼が戦前は公安警察官僚でA級戦犯、戦後はCIAのエージェントであることは有名な話です。戦前は国民を弾圧して戦争へ導き、戦後は米国の手先となった売国奴です。

   そんなことでは国際社会の基準である人権、民主主義、平和から見ればどうなのかと思います。しかし広岡達郎は正力松太郎の巨人軍は「強くあれ、紳士であれ、アメリカ野球に追いつけ追い越せ」という遺訓が好きだ、言います。これこそ欺瞞的で、読売ジャイアンツの行動は自分のことしか考えず、プロ野球界全体の発展とは全く違うことだと気づいていません。自分をトレードから守ってくれたと恩人のように思っています。

 これだけで十分「野球バカ」だと思いました。

日本プロ野球界全体を見て意見を言っているポーズはありますが、「読売中心主義」には批判ができず、だからクライマックスシリーズに反対、米リーグへのポスティング反対等部分的批判は出来ても、プロ野球全体が技術水準の向上や、もっと国民の身近になって発展するような構想はないようです。

 なぜこの本を読もうと思ったかといえば、彼が万年最下位だった広島カープに来てコーチをしたからです。その時の教え子、衣笠や三村等が初優勝の原動力になりました。どのように書いているか見ましたが、たいしたことは書いていません。

 大谷翔平イチロー、清宮などにも触れていますが、目新しいことはありません。

『ファンクション7/相場英雄』

 酷い小説でした。『ガラパゴス』『震える牛』『トラップ』等を読んできた相場英雄ですから期待して読み始めましたが、最初から最後まで嫌韓嫌中のヘイト本かと思いました。

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 2007年発行の本ですから、本書に出てくる北朝鮮と融和政策をとる韓国大統領は金大中、廬武鉉が想定されますが、その政権をきわめて歪めて描写をしています。韓国の民主化の闘いをまったく踏まえていません。

 この小説の大きなエポックは、北朝鮮の情報員が日本に来て東京、名古屋、大阪で毒ガスをまき散らす大規模なテロを決行することです。千人規模で被害者が出ます。しかし、その目的、必然性を全く書いていません。北朝鮮が日本にテロを仕掛ける国際情勢を説明することもありません。

 しかも日本の公安は彼らの存在を知っているが、手出しできないという前提です。テロまでは監視だけで、事を起こすときは公安をまくことはできても、いったんテロが起きると非常線がひかれますし、何の証拠がなくても、監視対象者は何らかの理由をつけて拘束されます。しないわけがない。彼らが本国に帰れるはずがないのです。

 しかし日本政府は「米韓の板挟み」で動かない、として、彼らはやすやすと北へ帰ります。

 また当然、戦争が目前に迫ります。小競り合いのように北と南の軍隊が戦うという程度ではありません。しかしこの本では、そのような急激な軍事的対立と日米中国、南北朝鮮の国際情勢の変化が生じていません。日本は経済制裁の強化をし、米軍に協力する程度です。

 そのもとで韓国と中国の大企業の業務提携の話は進み、日本でも日銀幹部の同期会が開かれていません。南北国境線の緊張もありません。 

 北朝鮮でも戦争に備えた兵力の配置もありません。

 主役は3人、一人はテロを起こす若い諜報員、一人は朝鮮戦争直後に北から南に逃れてきて、大成功して韓国の巨大企業の会長、もう一人は元日銀官僚で大学教員です。

 彼らもいかに北朝鮮がひどい国家であるかを演出する役割です。その国家を崩壊させるのはICTを使って、北の人民自身が、この国の正体を知ることだとまとめています。

 何を狙って書かれた本なのか不明です。長々と書いたのは、私は信頼していた相場英雄はもう一人いた、と思うほど忸怩たるものを感じさせたからです。

『山はどうしてできるか―ダイナミックな地球科学入門―/藤岡換太郎』

 藤岡さんの『フォッサマグナ』を読んで、引き続いて5月にこれを読み、6月に『海はどうしてできるのか』を読んでいます。

 本当の順番は、『海・・・』が太陽系と地球ができるところから書かれていて、原始の海であるマグマオーシャンが冷えて、陸ができてから『山は・・・・』の話になってきます。

 ですが、もう読んでしまったので、これから書きます。

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 簡単に言えば地球表面の活動によってできるということでしょう。プレートテクトニクスプルームテクトニクスという学説で説明されます。これ1冊読んでわかるわけではないですが、6月4、5日と徳島の大歩危小歩危に行って、その成り立ちの解説を読み、少し理解が進みました。

 地球内部のマントルの動きが表面にあるプレート(地殻+マントル上層部、厚さ30100㎞で、十数枚に割れている)を動かして、それが大陸を移動させ、超大陸を作り、そして分裂を繰り返しています。

 山の分類は、プレートがぶつかって堆積物が隆起した山、マグマが地殻を突き破って出てくる火山と陸地が浸食されて硬い岩盤が残った山があるそうです。

 最高峰がエベレスト8848m、一番低いのが天保山4.53mです。どちらも火山ではありません。エベレストがあるヒマラヤ山脈ユーラシア大陸(プレート)にインド大陸(プレートがぶつかってできたそうです。天保山は人間がつくりました。

 海の中にもたくさん山があって、周辺の海底から見るとハワイ島マウナケアが4205m+周辺の海底の深さ5000mで9000m越えています。これが一番高い山です。

 この本を読んで地球物理学の単語を知りました。

地震波によって地球内部を調べることができて、その進み具合の変化で密度構造が分かり、中心から内核外核(液体)、下部マントル、上部マントル、地殻とあるそうです。

ホットプルームコールドプルームマントル対流がを作り出し、それがプレートを動かすそうです。

・鳥瞰図に対比して海から見た図、鯨瞰図というもの。

・海にある山と谷

海嶺:地殻の割れ目、マグマが出てくる、プレートがつくられる場所。海底山脈

    大西洋中央海嶺は北極から南極まで2万㎞高さ3000m差し渡し1000㎞。アイスラン

トランスフォーム断層:プレートがすれ違う断層

海溝:プレートがぶつかり、一方が沈み込み深い海ができる

海山・海台:海の中の山で火山がほとんど。海台は平らな台地。

・岩石

 陸に多い花崗岩(比重2.7)、海に多い玄武岩(比重3.0)、マントルと作るカンラン石(比重3.3

目次は以下のとおりです。

準備運動 世界一高い山はエベレストか

  • 一合目 山をみるための4つの視点

  • 二合目 山の高さとは何か

  • 三合目 論争の夜明け

  • 四合目 大陸は移動する

  • 五合目 プレートとプルーム

  • 六合目 山はこうしてできる (1)断層運動、付加体、大陸衝突ほか

  • 七合目 山はこうしてできる (2)火山活動

  • 八合目 山はこうしてできる (3)花崗岩、蛇紋岩、石灰岩の山

  • 九合目 日本の山のなりたち

  • 十合目 プレートの循環、山の輪廻