2021年12月に読んだ本その2

『落語に学ぶ大人の極意/稲田和弘』『五代目三遊亭圓楽特選飛切マクラ集/五代目圓楽』『世界12月号』残り3冊です。年内に読み終えた本は、偶然ですが映画と同じ91冊でした。

『世界』は全て読めるわけではないが、関心がある記事を読んでも、それを要約するのが難しく、いつも後回しになります。

『落語に学ぶ大人の極意/稲田和弘』

 落語に登場する人々を題材に、人との付き合い方や現代人の生き方について書いた本です。会社の同僚、上司あるいは近所の人々を上手に落語の登場人物に見立てています。平凡な会社員とその家庭、彼の会社の同僚、上司をモデルにして、実際にありそうな会話を展開しています。

でも落語のエキスである小粋さはありません。よた話の感じです。

 章立ては以下のとおりです。

①大人の友情②ご近所の交際術③会社の人間関係④男女のいろいろ⑤大人の喧嘩術⑥大人の謝罪術⑦お金の話、です。

 印象に残ったことを書きます。

・酒は一人で飲まない、みんなでワイワイと。だから晩酌はしない。

・謝るときは迅速に、怒るときは少し時間を置いてから。

・女をものにする方法は二つ、強引に行くか、ひたすら拝み倒す

・喧嘩の仲裁は、お互いの意見を聞く、もしくは聞くふりをする

 あくまで落語をネタにした世渡りの「極意」です。

『五代目三遊亭圓楽特選飛切マクラ集/五代目圓楽

 落語のマクラ集ですが、やはりマクラは面白いです。内容もそうですが、そこに噺家人間性が見えるように気がします。

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  19751127日~20071220日までの「にっかん飛切落語会」からの収録で24話がありました。そして「まえがき」「あとがきは」は6代目円楽です。

  24話のタイトルは書き留めているのですが、中身がどうだったの覚えていませんし、メモにも書いていないので、ここでは書けません。次から気になった話は要点を書き留めようと反省してます。

 ですから、これを読んで持った五代目圓楽の印象を書くことにしますが、大体が6代目円楽の引き写しです。

 笑点の回答者、司会者の時のままで真面目、頑固、勤勉、努力です。唯一、意外だったのはアドリブが利かない、ということです。よく映画を見て本を読んでいたようで、マクラにもそれは羽根井されていました。

 立川談志とは違う、カタイ人間性で真逆のようですが、落語への情熱は負けず劣らずで、気難しい、そういう方向では似通っている印象を受けました。

『世界12月号』

【特集1 「学知と政治」】

以下のリード文があり、学術会議任命を拒否された6人が書いています。

「私たちは、学問の自由と学術組織の独立した地位の尊重を求める。その自由と独立とは、ただアカデミズムの発展のためだけではなく、私たちの社会の持続可能性の確保と民主主義のために不可欠であるからだ。

日本学術会議の会員任命拒否から1年が経過した。いまだ政権は、その決定の撤回をせず、経過の率直な説明も行なっていない。追及の過程の中で明るみに出た政府の文書には、このように記されていた。

『外すべき者(副長官から)』――政権は、何を恐れて、このような挙におよんだのか。 学問の自由と独立を侵し、法に違背してまで、知の第一線に立つこの6名の、何を忌避したかったのか。

その本質は、本特集の全体によって明らかとなろう。 」

6人の論文のタイトルを載せます。

「日本における学術と政治─学術会議会員任命拒否問題から考える/岡田正則(早稲田大学)」

現代日本と軍事研究─日本学術会議で何が議論されたのか/加藤陽子東京大学)」

「法治の危機と学術の軽視/松宮孝明立命館大学)」

ポスト真実の政治状況と人文知/芦名定道(関西学院大学)」

「「『反政府的』であるとは、どういうことか─政治と学問、そして民主主義をめぐる対話/宇野重規東京大学)」

「反憲法政治の転換を/小沢隆一(東京慈恵会医科大学)」

【「関西生コン弾圧と産業労働組合、そしてジャーナリスト・ユニオン」花田達朗(早稲田大学名誉教授)  

 労働組合としての連帯ユニオン関西生コン労組の存在は知っていますが、その中身は知りません。雑誌「世界」の101112月とこのタイトルで連載されていました。かなりの興味を持って読みました。

 中心的な事柄は、関西生コン労組のストライキなど「正当な労働組合活動や争議行為」を犯罪とされ、刑事事件とされたということ、そしてその不当労働行為について、大手マス・メディアは一切取り上げていないという批判です。


【メディア批評【第168回】/神保太郎(ジャーナリスト)】

①ジャーナリストの平和賞受賞と日本の私たち

 ノーベル平和賞はロシアとフィリピンのジャーナリストです。表現の自由のために戦っている全ジャーナリストの代表ということです。

 それに比べて日本では政権批判をどれほどしているのかという指摘です。

②「報道の不自由」、浸食を許すメディア

 ここでは、日本の「不自由さ」を具体的にあげています。北海道新聞記者の不当逮捕、熱海土石流現場等の取材活動の規制、締め付けに対して「日本のマスメディアは極めて従順だ」と声を上げず、抵抗もしない姿を批判しています。


片山善博の「日本を診る」【145】新型コロナ対策のこれから──国も都道府県も特措法の原点に戻れ/片山善博早稲田大学)】

 コロナ禍で明らかになった問題点を2点指摘しています。一つは「政府の特措法解釈はあまりにもお粗末」、それは緊急事態宣言を解除しても飲食店などの営業の自粛要請ができるという法解釈は間違いと言っています。

 二つ目には都道府県が国の指示待ちになっている、コロナ対策の内容を「真剣に考えなくなった」という指摘です。

 二つとも当たっていると思います。


【但馬日記【第31回】繰り返された「トランプ型選挙」──豊岡市長選顛末記(4)/平田オリザ(劇作家)】

 昨年4月の市長選挙の時に「演劇のまちづくり」を中傷された平田さんが、その模様を書いていました。フェイクニュースなどが流されて、長く住んでいる人々に「偉い市長さんや芸術家」に街を壊してほしくない、という思いに駆り立てた選挙、それが「トランプ型選挙」という指摘です。