24日25日「それでも恋するバルセロナ」


 いい映画でした。ウッディ・アレンの傑作です。いつものように世の常識とか慣習を逆なでするような映画の展開ですが、でも常識的です。セックスシーンはないし、乳房も出さないという健全さです。私には物足りないところもありますが、とてもリラックスできる映画です。
 アメリカから来た2人の女がスペインの男と女を相手にバルセロナでひと夏のアバンチュールを楽しんで、又アメリカに帰ってこれまでの人生を歩き始めるという映画です。バルセロナでは少しははめを外すのですが、セックスと恋愛に関わる「人間の心ってどこまで自分で分かるのか」ということですかね。
 この映画の主人公の一人クリスティーナが作ったという「愛の定義」という12分の映画のパロディといってもいいと思います。狂気と常識は隣り合わせにすんでいるし、常識ばかりの人生って面白くもない、でも常識は楽に生きるために必要なことだ。あるいは恋愛は人生の一服の清涼剤、それはもはや人類においては生殖とは切り離されていると、ウッディは言います。この映画は彼のそういう考え方を証明します。
 そして恋愛を楽しむには、そこそこの収入が要るということです。子どもは邪魔です。この映画には一切出てきません。そう、この映画は子どもが寝てから見てください。
 さらに冒険や新しさや怖いこと、恋愛に踏み込んでばかりでは、疲れてしまうから、理性という平凡な人生のパートナーこそが心のふるさとだと思いました。
 またどこかで、この映画の感想を書きます。