『パリから来た殺し屋』『ロッコク・キッチン』『木挽町のあだ討ち』の3本が残っています。それぞれ全く違いますが、特色を持った良い映画でした。
『パリから来た殺し屋』
ジャン・ルイ・トランティニアが主役の映画です。あんまり政治的な深い意味はないかと思いますが、逆転逆転の面白い映画でした。

パリからロサンゼルスやってきた殺し屋ルシアンは標的のマフィアのボスを暗殺します。すぐにフランスに帰ろうとしますが、何者かによって、パスポート等が奪われて、そして命を狙われる立場に追いやられます。
逃げ回りながらパリに帰る手立てを得た時に「このままでは帰れない、ずっと命を狙われる」ことに気づき、彼を狙う殺し屋に逆襲し、そしてその男の黒幕は、この殺しの依頼主だった、ボスの妻とその息子であることを突き留めます。
そしてまた殺し合うという話です。
『ロッコク・キッチン』
「ロッコク」は国道6号、東京から福島を通って仙台へ行く国道です。福島県の沿道で暮らす数組の人々に焦点をあてたドキュメンタリーです。

「みんな何を食べどう生きているんだろう」と副題がついています。福島の浜通り、大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市小高区等で人々でした。キッチン、食べるしんーんがよく出てきます。
面白い映画です。最初出てきたのはインドからの留学生の女性でした。彼女がなぜ被災地の観光ガイドを務めるのはよくわかりませんが、
そして夜だけ開く古本屋。「俺たちの伝承館」は震災と原発事故を展示しています。
『木挽町のあだ討ち』
上手に作ってある映画です。直木賞と山本周五郎賞を得た永井沙耶子の同名の原作をもとに、それを映像化してますから、手の込んだ展開が描けていると思います。しかし何か心に響くものがなかったのです。

まず最初に、衆人環視のもとで見事な仇討がなされます。というか芝居小屋の前で、しかも芝居が跳ねた後で、芝居見物の人々を集めて、いわば彼らを仇討ちの証人にするように行われたのです。
表面的には遠山藩の監査役、伊納清左衛門を殺して出奔した家来、作兵衛を息子、菊之助が追ってきて仇を討ったというものです。
しばらくしてその仇討の真相を探ろうとする侍、加瀬総一郎がきました。
仇討ちは仕組まれたもので、作兵衛は生きていました。しかしそれ以上にこの仇討には秘密があったのです。
清左衛門は、藩の家老の横領を探り当てたのですが、逆に罠にはめられて切腹、お家取り潰しを迫られていました。この危機に対し、清左衛門は、自分を家来に殺させ、その仇を息子に討たせるという奇手を考えました。
世間に有名になった「仇討の家」は潰せないという読みです。
しかし菊之助の「仇討ち」に危惧した母は、昔馴染みの芝居小屋の男、篠田金治に「止めて欲しい」と依頼していたのです。
金治は作兵衛、菊之助そして芝居小屋の連中の協力を得て「仇討芝居」を大観衆の前で演じて、アリバイつくりをしました。
だから金治や菊之助は遠山藩の事情は知らなかったということです。作兵衛も藩の秘密は洩らさなかったいうことです。
清左衛門の部下であった加瀬総一郎は、清左衛門から知らされてはいなかったけれども突然の「主殺し」を疑い、さらに「仇討」の芝居を見破り、作兵衛は「家老の横領」の証拠を持っていると考えて江戸に来たのでした。
だから清左衛門は、部下の総一郎がこのカラクリを見抜くと信頼しての奇手だったと思います。

なんかものすごく複雑で、それがすべていうまく行って、この物語が成立しています。私はその手の込んだ作為に「面白くない」という印象を持ちました。
ミステリーの組み立ては上手ですが、時代劇という人情の機微ではないと思います。心ならずも義理人情に縛られる人間が欲しいと思いました。












