城崎温泉の旅(3月4日5日)

半年も経ってしまいましたが、載せておきます。城崎温泉にある麦わら細工伝承館がよかったので、そこへ行ってほしいという紹介です。

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西神中央から城崎温泉

 36日に神奈川県三浦半島ハーフマラソンに出る予定にしていましたが、マンボウのために中止となったので、そのままおとなしくしているのも嫌で、JTBが「お得な旅」を案内していたので345日と、城崎温泉に泊まり、丹波、城崎、香住、宍粟を回るドライブに行きました。、城崎温泉東山荘に行くことにしました。

 西神中央から国道175号を北上して、丹波市の青垣いきものふれあいの里、遠阪峠(とうさかとおげ)を越えて、朝来市高中の手打ちそばで昼食、それからコウノトリの郷公園を見学し、城崎温泉につきました。

 国道175号は神戸市西区平野町神出町の一部を除き、西脇市まで4車線での整備が完成したような感じです。小野あたりまではかなりの交通量ですがスムーズな流れになっていました。

 青垣の道の駅で一休み。そこにあった丹波布伝承館をのぞきました。木綿と絹を使った伝統的な織物です。

丹波布伝承館

 生き物ふれあいの里はちょっと期待しましたが、大した展示はありません。周囲の里山1時間ほどで回れるハイキングコースがあるので、時間があればよかったのですが。

 遠坂峠を越えて朝来に入りました。この峠は急こう配でくねくね曲がっています。交通量が少ないのでいいですが、大型トラックなどが来たら交叉が難しい道路です。だからトンネル(1977年開通)が作られたのですね。

 昼過ぎに和田山に入り、出石へ山越えをしようと考えていました。途中にある高中(こうなか)そばを食べましたが、そこから先、山へ入る道は積雪で通行止めでした。

高中そば

 やむなく円山川に沿って下り、城崎温泉の途中にあるコウノトリの郷公園に行きました。

 この公園は県立で、研究棟と県立大学のキャンパスもありました。その中にある豊岡市立の文化館でコウノトリの飼育の状況と公園全体の説明、などがありました。

 立っている時は1m以上あり、羽を広げると2mぐらいもある大きな鳥です。江戸時代までは日本国中にいたそうですが、乱獲と環境破壊で絶滅危惧種となりました。


 パッと見た時に、コウノトリの人形がおいてある思いました。動かないのです。足を上げたまま、くちばしを明けたままでじっとしているのです。

 そういう行動をとると学芸員さんに聞きました。

城崎温泉から宍粟へ

 その日は、東山荘に泊まり城崎温泉の外湯は近くの柳湯と地蔵湯に行きました。

柳湯

地蔵湯

 16日は文芸館、麦わら細工伝承館を見てから、香住に向かいました。そこにいったのは香住鶴の直売所に寄るためです。

 そして大屋の明延から宍粟に抜けて、宍粟歴史資料館、伊和神社と回ってきました。

 北但馬の山、山間の田畑にはたくさんの雪が残っていました。

 一番印象に残っているのは、麦わら細工伝承館です。小さな資料館ですが、伝統的な技術であると初めて知りました。

麦わら細工伝承館

 

 

 そして宍粟はもっと山の中かと思っていましたが、意外と開けた平地でした。伊和神社も大きくはありませんが、雰囲気がありました。

宍粟歴史資料館

伊和神社

東山莊、蟹と但馬牛

 

2022年5月に見た映画その2

オードリー・ヘプバーン』『大河への道』を書きます。どちらも期待外れの映画でした。「大河への道』は西神ニュータウン9条の会HP6月号に書きましたので、それを再掲します。

オードリー・ヘプバーン

 日本ではいつもの歴代のベスト映画に入る『ローマの休日』で、彼女は大人気です。でも「永遠の天使」といわれた、その見かけとは違い、第二次世界大戦下で大変な苦労をしてきました。

 これは「彼女の知られざる人生と苦悩を描き出す」映画と謳われていました。少し期待して見たのですが、でもそうでもありませんでした。

 晩年は、ユニセフ国際親善大使として自身の名声を、貧しい国の子どもたちのために尽くしています。慈善活動を通して大勢の人たちに癒しと救済をもたらし、自身についても「人生の最後に、自分のことを好きになれた」と語ったオードリーです。

 バレエダンサーとしての挫折、父親と確執があったということはわかりました。 でも突っ込みが足りないと感じる映画です。

 彼女が魅力的であることは変わりません。

 

『大河への道』

 立川志の輔の落語を原案としてつくられた映画です。「大河」とはNHKの大河ドラマのことで、千葉県香取市が郷土の偉人、伊能忠敬をNHKに取り上げてもらおうと画策するというドタバタ喜劇です。

 西神ニュータウン9条の会HPに書いたものを載せておきます。

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落語と映画

 ここで紹介する映画かどうか少し迷いましたが、私が追求している行政職地方公務員を主役とする映画ですので、書くことにします。

 立川志の輔創作落語を原作としてつくられたコメディ映画で、落語の映像化ですから突っ込みどころ満載になるのは仕方ありません。よほどしっかりした脚本、監督が必要ですが、そのあたりは凡庸でした。

 千葉県香取市の観光政策が始まりです。ここ出身の偉人として親しまれ尊敬されている伊能忠敬を主役とする大河ドラマをつくるように、NHKに働きかけることが決まりました。

 映画は、現代の市役所のドタバタぶりと江戸時代の忠敬の地図作りにかかわる、二つの場面で構成されています。出演者は現代と江戸時代で一人二役をしていました。

 忠敬は佐原の商人でしたが、50才で隠居します。それから江戸に出て天文学を学び、幕府の許可を受けて、日本国中を回って精度の高い日本(北海道から九州まで)の沿岸地図を作成した人です。

 地図は忠敬が死んだ3年後に公表されました。その間に何があったのか、これがこの映画の主題でした。

大事な公務

 大河ドラマをめざす仕事の責任者は池本主任(中井貴一)です。人口7万人の小さな市のですが、彼は課長でも部長でもありません。普段はゴミステーションの網の修理も自分でする総務課の担当者です。

 香取市長は出てこなくて、業務は千葉県知事(草刈正雄)が命じ、最後も知事に報告します。

 県市の役割分担や業務上の指揮命令系統はいい加減です。そこはやむを得ないと目を瞑ります。でも公務とは何かを描かないのが残念でした。

 落語は一人で何役もこなす芸ですから、中心人物と筋、布石以外は削ぎ落しています。しかし映画は周囲の状況も映し出します。そこに映画の面白さがあり、落語にはない良さがあります。しかしそういう撮り方ではありません。

 忠敬の死を伏せ、幕府を欺いて地図を完成させたという映画です。現代でも、国民市民のためになる大切な公務は、上司を騙してでもやれと強調すればよかったのです。

 

2022年5月に見た映画

『カモンカモン』『ツユクサ』『スリーピング・ボイス』『オードリー・ヘプバーン』『大河への道』5本という少なさです。連休は田植えがあり、2回マラソンに出たという理由がありますが、ちょっと少ない本数でした。しかも残念ながら「これは」という映画に出会いませんでした。

 例会『スリーピング・ボイス』の背景を書いています。「大河への道』は西神ニュータウン9条の会HP6月号に書きました。それらも載せるので2回に分けての掲載です。

『カモンカモン』

 わかりません、というのが感想です。

9歳の甥を預かることになった独身男(インタビュアー、ジャーナリスト)が、その小さな子供を連れて仕事場や取材先を歩きます。

 その時の二人の対話がメインです。二人が打ち解けていくのはわかりますが、それ以上に何があるのか、見た時も今もその良さがわかりませんでした。 

ツユクサ

 小林聡美松重豊の主演という熟年世代のプラトニックラブですかね。

 小さな港町で暮らす、訳ありの中年女、芙美(小林聡美)はタオル工場に働き、同世代の女性二人と友達になって、彼女の息子の小学生とも遊んでいます。

 それなりに楽しい生活を送っていました。

 そしてツユクサの葉で草笛を吹く男、吾郎(松重豊)と知り合い、なんとなくいい雰囲気になります。吾郎は道路工事の交通整理員をしていました。彼にも過去があったのです。

 芙美も吾郎もつらい過去を背負い、この街に逃げてきていたのでした。

 それで知り合ってお互いに恋心を抱く、つらい人生からの転換です。いいね、という映画でした。何じゃらほい。

『スリーピング・ボイス』

 映画サークルの例会です。なかなか重い内容を持っていました。しかもスペインという現代ではわき役になっている西欧の国の暗い歴史です。近代西洋史の授業では教えていないような気がしました。

 1936年の総選挙で勝利した人民戦線政府に対し、同年フランコが率いる軍部がクーデターを起こし内戦が勃発します。

 ナチスドイツなどの支援を得た軍部は、1939年に勝利を得て、フランコ独裁政権が始まりました。

 映画は1940年、この時代をテーマにした映画はたくさん作られています。スペイン近代史の暗部です。

 日本では中国大陸に侵略戦争を仕掛けている時代で、フランコ側でした。映画を見ると、感覚的にはもっと新しいように思います。

 軍事独裁政権は、同国人であっても人民戦線で闘った人々を徹底的弾圧しました。見るのもつらい映画です。その時代は長くタブーとしてスペイン人は知りません。

 関係者の取材によって書かれた、その時代を描く小説が原作です。

 映画サークルの機関誌に、第二次大戦後のスペインを書きましたので、以下に載せます。

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フランコ独裁政権とその後のスペイン

フランコ独裁政権

 一九三九年四月一日から一九七五年十一月二二日まで、フランシスコ・フランコがスペイン内戦の勝利宣言を出し、彼の死去までの三六年間はフランコ独裁の時代でした。

 この映画にあるように、フランコは人民戦線政府側で戦った者だけでなく、その家族なども捕らえて、正当な裁判もなく処刑しました。その後も、自由や民主主義を認めずに、政権に逆らう者や組織を徹底的に弾圧します。

 政党はフランコが結成したファランヘ党(一九四九年に「国民運動」に改称)の一党となります。ファランヘ党反共主義カトリック主義、ナショナリズムを掲げ、最初は、ドイツやイタリアをまねたファシズムを推し進めようとしました。

 ヒトラーの要請がありましたが、第二次世界大戦は枢軸国側に加担せず中立を装います。裏では独伊に便宜を図り、義勇兵を対ソ戦線に送ります。満州国も承認しました。

 しかし枢軸国側の劣勢をみると、一九四二年ファシズムの中心的な人物(義弟ラモン・セラーノ)を要職から解任しました。

国際的孤立から西側の一員へ

 フランコ政権は軍部と王党派、大地主、カトリック教会という多様な右派勢力を結集してつくられました。

 大戦後は連合国側と相いれないファシズム体制だということで国連は排斥を決議(一九四六年十二月)し、主要国は国交を断絶しました。マーシャル・プラン(米国の西欧諸国への経済復興支援計画)からも外され、国際的には孤立します。

 米ソの東西冷戦が厳しい情勢になってくると、その流れが変わりました。まず米国が相互防衛協定(一九五三年)を結び、国連や国際通貨基金に加盟して西側諸国の一員なります。

 そして六〇年代には西欧諸国の好景気が反映して、外国企業からの資本投資が活発になり、重工業が発展します。観光客も飛躍的に増加(六〇年六百万人が六五年一四百万人、二〇一七年ではフランスに次ぐ外国人観光客八二百万人)するなど、日本に次ぐ高い経済成長を達成します。

 一九七五年にフランコが死ぬと、その後継者は政治方針を転換させて、七七年に選挙を実施します。その政権のもとで基本的人権等を保障した、現在の民主的な憲法(七八年)をつくりました。

民主主義国家へ

現在のスペインはスペイン王国(キング・オブ・エスパニア)という立憲君主制の国です。面積五〇.六万㎢、人口四七百万人、上下院の議会を持ち、広範な地方自治が保証された十七州で構成されています。EU、NATOの一員です。

 二〇〇七年にスペイン内戦とフランコ政権下の犠牲者の名誉回復、公の場でのフランコ崇拝の禁止などを盛り込んだ「内乱と独裁期に迫害と暴力を受けた人々のための権利承認と措置を定めた法(歴史の記憶法)」を可決成立させました。

 二〇二一年にフランコの最後の銅像が撤去されました。(Q)

参考資料:「一冊でわかるスペイン史/永田智成・久木正雄」他

稲刈り、無事終わる

 9月11日に2022年の稲刈りが無事終了しました。

 大げさな言い方をしましたが、この前まで台風の影響もあり、雨が降り続いて、いつ稲刈りができるのか悩んでいました。

 私の子どものころは手で刈って、田んぼに建てた「ウマ」という、竹でつくった稲穂干しに掛け、数週間干して脱穀、収納という過程でした。すべて人力です。

 田植えの時期を同様に、親戚にも手伝ってもらって、我が家はちょっとしたお祭りでした。その分、母親は大変であったと後日思いました。

 多少の雨でも人間は稼働します。

 私の実家は父母が死に、田んぼも手放したのでスッキリしていますが、嫁の実家は父母は死にましたが、田んぼはまだあります。そこの手伝いが恒例となっています。

 今ではほとんど機械ですが、雨が降り続くと稲を刈れません。コンバインは田に水があるとうまく走れないし、稲に水気を含んでいても、うまく刈れません。

 うちのコンバインが古いためかもしれませんが、機械は便利で楽ですが、まだまだ不便です。

10日土曜の午後から雨がやんでいたので、日曜日に決行です。

 全て機械がやってくれると楽ですが、うちの家はそこまで行きません。コンバインで刈って籾を袋詰めまでしてくれますが、それを軽トラに積み替え、家の乾燥機まで運び込まなくてはなりません。

 乾燥機は道路に面していないので、下の運搬機に積み替えて、細い路地を通っていきました。なかなかの重労働です。

一袋20~30㎏ぐらいかなと思います。

 田んぼは二面あって、一つは義兄が台風の合間を縫って、一人で刈って運んでいました。

こちらを3人で刈りました。みんな結構な年になっていますから、いつまでできるのか、先が思いやられます。

 昔は台風が過ぎれば青空なると、思っていましたが、近年の異常気象は全く分かりません。変な時期に雨が続きます。来年以降も悩むのかと思います。

 稲刈りを終えて、神戸に帰ってくると、途端に暑い日が続くようです。

 来月の川柳教室の兼題は「実り」です。この稲刈りの間、いろいろと考えていました。2句作りました。

 好々爺ヤンマを追って稲を刈る

 稲刈りに追われた蛙トビが食い

 ほかにも柿の実とか、栗の実とかひねりましたが形になりません。そういえば、トンボはオニヤンマを見ただけで、昨年たくさんいたアキアカネ等の赤とんぼがほとんど見かけません。これも異常気象かな。

 

西神ニュータウン9条の会HP2022年9月号

標記のHPが更新されていますので紹介します。

今月の「読物」エッセイは6本と少し少なめでした。しかしニュース「つながり」も読めますし、来年5月の講演会講師の平田オリザさんの紹介もあります。さらに「国葬」反対のデモのテレビ映像もリンクが張られています。

「おしゃべりコーナー」で今月の歌は「島唄」です。川柳もあり、他団体のイベント紹介も増えて、充実しています。

西神9条の会 (www.ne.jp)

エッセイを簡単に紹介しておきます。

 ウクライナ侵攻、一日も早い停戦を祈りつつ (一旦、了)  

 西元さんは、軍隊が守りたいものは「軍隊」。そして戦争で儲けるものがいると指摘しています。

②パリ通信はいつも通り、フランスの日常です。「お客様は泥棒」という見出しで、スーパーに他店で買ったものを持って入るときのルールが紹介されていました。

 安倍さんの国葬、反対です  

山口さんは吉田茂元首相の国葬の経験を紹介して、愚かな安倍国葬の撤回を求めています。自民党統一協会の関係が深いこと、その元締めが安倍元首相であることが明らかになっています。それでも強行すると失政が明らかです。

深刻なプラスチック汚染  

日本のプラごみは米国に次いで多いとそうです。生物に与える影響は深刻です。

series  やさしい裁判・法律の話

成年年齢の引き下げ―その2  は過去の記事も併せて読みたいものです。

憲法と映画(69)

今回は『島守の塔』を書きました。周りの人の評判はいいのですが、私はどうも違うように思うのです。簡単に批判しました。後日もう少し長く、この映画を批評しようと思っています。

「三味線」川柳

60才で定年を迎えて、再任用で勤めは続けましたが、気持ちと時間の余裕(でも大幅な賃下げ)が生まれたので、三味線とマラソンを始めました。

あれから6年です。マラソンはコロナがあって各地の大会が休止になったので、2年ほど空白が出来ました。でも三味線は続けています。

ともに、それまでの人生で不得手、向いていない、才能がないとあきらめていたスポーツと音楽ですが、遅まきながら楽しみを増やそうと、日常生活を大きな部分を当てています。

 マラソンは、スポーツジムに通って、月に12回程度、1回に10㎞を目安にランニングマシンを使っています。これまで47都道府県中21都道府県の大会(主にハーフ)に出ました。

 三味線は、コロナ禍でも、大体週に一回30分~50分程度、稽古しています。我ながらよく頑張っていると、と思います。腕はなかなか、とても人様に聞かせられるものではありません。

 年に一回、忘年会の余興で披露して、友人たちに我慢して聞いてもらっています。「苦情は受付ません」と納得の上です。

 この4月に無職となって川柳教室に通っています。このブログにも載せていますし、西神ニュータウン9条の会のHPがニュースに投稿しています。

 今回「三味線」というお題をいただきました。以下のように10連発を吐きます。

・新たなる人生さぐる三味の音

・ままならぬ三筋をたどる千鳥足

・裏窓のあの子に聞かす三味の音

耳順から振り返りつつ三味習う

・夢に見るしゃれた文句の弾き語り

・なくもない下手な三味線ほれる人

・ありがたき三味を肴に友は飲む

・恒例の三味でにぎわう年忘れ

・稽古して味良い味噌をあてに飲む

以上、お粗末様でした。でもこれは三味線の一般的な川柳ではなくて、私の周辺を読んだものです。

2022年5月に読んだ本

『時代の波音/日本民主主義文学会編』『龍の耳を君に/丸山正樹』『ルポ百田尚樹現象/石戸諭』『藝、これ一生/桂米朝』『ネットと愛国/安田浩一』『世界5月号』『前衛5月号』を読みました。まず3冊を書きます。

『時代の波音/日本民主主義文学会編』

 創立40周記念の民主文学短編小説集(1995年~2004年)で、19本が載っています。いわゆるプロレタリア小説です。期待して読み始めたのですがちょっとがっかりです。それは、現代日本社会を描くものが多いのではないかと思ったのに、戦中戦後が多いからです。

 そして著者の年齢が私より若い人は旭爪あかね、渥美二郎の二人だけなのも残念です。

 その中で面白かったものを紹介します。

『表彰/原洋司』

 工場の技能者が工夫を評価されて「社長表彰」のもらえそうになったのが、その仕事に会社から睨まれている活動家や派遣社員が絡んでいたので見送られます。その顛末を淡々と書いています。好感が持てました。

『画像の上の水滴/旭爪あかね

 専門学校を卒業して版下製作の会社に職を見つけた女は、次のあてもなく、社長のやり口に反発しめてしまいます。今度は、人とあまり接触しない新聞配達の仕事に就きます。しかしそこで自分の生き方の間違い、人と人は助け合っていることにに気づくという話でした。

 人間の素直さと愚かさが表裏一体と言う感じで、これも好感が持てる話でした。

『龍の耳を君に/丸山正樹』

「デフ・ヴォイス新章」という副題がついたシリーズ2作目です。『第1話 弁護側の証人』『第2話 風の記憶』『第3話 龍の耳を君に』でいずれも手話通訳士である荒井尚人を主人公とする連作短編集です。面白かったです。

 健常者が普通に生きていれば、あまり接触しないろう者(でも彼らは身近にいます)を中心に置いた話となっています。この本で障がい者の思いを教えてもらいました。

 日本手話と日本語対応手話の違いの詳しい説明がありました。

『第1話 弁護側の証人』

 ろう者が被告となった裁判の通訳。健常者は発語という事もわかりません。

『第2話 風の記憶』

 警察の取り調べの通訳に入り、ろう者がろう者をだました事件を知ります。

『龍の耳を君に』

 荒井の恋人の娘の美和の友達、場面緘黙症の子どもに、荒井が手話を教えます。見る見るうちに彼は「言葉」出すようになりました。

 ろうという字は「聾」と書くのです。

 差別される側の人々を描いているのですが、読後感がさわやかです。

『ルポ百田尚樹現象/石戸諭』

 なぜ百田尚樹は読まれるのか、誰が読んでいるのかを知りたくて読みました。著者の石戸諭さんは1984年生まれと若いですが、しっかりと取材して書いていました。百田と繋がるような藤岡信勝(自由史観研究会)西尾幹二(ドイツ文学者)小林よしのり(漫画家)の考え方の異同までも明らかにしています。

 「第1部 2019年モンスターの現在地」「第2部 1996年時代の転換点」と「終章 ポスト2020空虚な中心」で構成されていて、第1部は百田尚樹、第2部は彼の先駆者と見られる人々、その流れです。そして終章で百田尚樹現象、ポピュリズムを解き明かし、それと対抗するものとして戦後すぐの柳田國男の言葉を引用しています。

 ごく簡単に紹介します。百田は「普通の人」に受けるものを書く、そのテーマを探すことや書き方がが上手ということです。自分の主義主張ということも含めて、受けるものを無自覚的に、虚偽であっても、一方的であっても、一部の人を傷つけようとも、そんなことに拘らずに書いています。

 しかも「反権威」を標榜し、「権威」を朝日新聞、インテリ、文化人と言っています。

 第2部で登場する人々も「反権威」が似ていますが、彼らには自分の主義主張があります。最初は百田を受け入れ歓迎していましたが、現在では少し離れているし批判的にもなっています。

 西尾さんをのぞいて、百田とも共通しているのは「普通」の人々に届くようにターゲットにして情報発信しているということです。それが多くの人を動かしています。

 教科書に従軍慰安婦が消えたというのが(政府の責任ですが)その例でしょう。

 しかし従軍慰安婦問題に対する藤岡さん等の、映画『主戦場』でも物言いは卑劣で醜く愚かでした。

 柳田國男は、戦争へ暴走した日本を反省して、付和雷同を戒め、自分の頭で考えて、そしてものをいうことが大事という主旨を言っています。思想信条、言論の自由ということです。

 それがこの本の結論です。