『東京家族』『レ・ミゼラブル』『ル・アーヴルの靴磨き』

 他にも見ていますが、ちょっと批判ばかりになる映画は除きました。とりあえず評価している、この3本です。
東京家族山田洋次の映画そのものという感じで、安心して見ることが出来ます。それはそれでいいのですが、大枠を小津安二郎の『東京物語』にして、しかもそれにこだわりすぎています。
 例えば長男役の西村雅彦ですが、山村聡を意識するような演技で、ちょっとあいません。このあたりは雰囲気を変えて現代の家族像を作ったほうが良いと思いました。
 描かれている世代は、ちょうど私のすぐ下の辺りですから、感情的に「違う」とか「納得」という風に見てみます。だからよけいに『東京物語』そのままの家族関係の感情を持ち込んで現代にあわすのは無理があったのではないか、と思うのです。
 印象的に「窮屈」という感じです。1970年の『家族』は本当にすばらしい映画でしたから、21世紀の東京家族をテーマにほしいと思いました。

レ・ミゼラブルは見ごたえがありました。全編歌で台詞を言うので、落ち着かない気持ちもありますが、セットも大掛かりだし、俳優陣も素晴らしい、話や人物設定もわかりやすい。ただ時代背景がフランス革命後のフランスですが、ナポレオン帝政、王政復興がありますから、そんなことはどう関係するのかと思ったら、よくわからなくなりました。

ル・アーヴルの靴磨き』は例会です。珍しくはっきりとしたハッピーエンドですから、これが良いという意見を聴きました。アキ・カオリスマキ監督らしい惚けたような味、殺人事件もどこかのんびりした感じになってしまうのが、面白いと思います。

今回は簡単に。