11月の映画

ハドソン川の奇跡』『ボクのおじさん』『山河ノスタルジア』『聖の青春』『ブルゴーニュで会いましょう』『孤独のススメ』『プロバンスの休日』『奇跡の教室』『クワイ河に虹をかけた男』今月は9本でした。
上手につくっているけれど
ハドソン川の奇跡』は見る予定に入っていませんでした。クリント・イースドウッド監督でトム・ハンクス主演ですから「うまい映画だろう、でも何か新しい発見はないだろう」と思ったからです。

飛行機のエンジンに鳥が飛び込んで故障すると言う緊急事態に対し、機長の判断でハドソン川に不時着し、奇跡的に死傷者ゼロで生還するという実話です。
映画は、事故調査委員会が機長のこの判断が正しかったかどうかを検証します。川に不時着と言うきわめて危険な行為を選択したことを批判します。
杓子定規な彼らの言い分に対して、機長は多少揺らぎながらも、自らの蓄積での現場の判断を貫きました。
そしてそれが認められたと言うことです。きわめて当たり前の結論を、上手に見せました。
これは映画つくりの見本でしょうが、やはり新しい発見はありません。
戦争責任
今月の1本は『クワイ河に虹をかけた男』です。
これは永瀬隆さんを追ったドキュメンタリーです。永瀬さんは元陸軍の通訳で、泰緬鉄道建設計画に従軍しました。映画サークルで上映した『レイルウェイ運命の旅路』のモデルにもなっています。
彼は地獄の泰緬鉄道建設を知る者として、贖罪と慰霊のために戦後の人生を捧げました。一人でタイに赴き全財産を費やして「戦争責任」を償った人です。

一兵士として戦場に赴いた人たちは、戦後、その体験をほとんど語っていません。加害においても、また餓死寸前まで行った南方での体験も語りません。その中で、永瀬さんは自分が見聞きしたことを語り、一人でも償いをしようとしました。日本の政府でさえも目をつぶったことを明らかにしていきました。
もっともっと日本人はこの人の生き様を知るべきだと思いました。
奇妙な映画
『孤独のススメ』はなんとも奇妙な映画でした。
(続く)