2019年10月に見た映画

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『天気の子』『スノー・ロワイヤル』『カルヴェストン』『僕の帰る場所』『空母いぶき』『リービング・アフガニスタン』『隣の影』『ある船頭の話』『帰れない二人』『王の預言書』『居眠り磐音』『ボーダー』12本でした。富山に行く予定が台風で潰れたので予定より多く見ることが出来ました。

例会作品も含めてこれで今年90本、あと2か月で100本は越えられそうです。

『天気の子』新海誠のアニメ、前作『君の名は』は大ヒットしたので見ました。今回もロングランなので見に行きましたが、前作よりの酷い、つじつまが合いません。

SFはすべて空想の上に成り立っているのですが、どこかに現実をつなげています。空間とか環境を変えれば人間の意識や性癖などを変えない等によって、読む側見る側が納得するように工夫します。ですが2作とも私は納得できませんでした。ご都合主義的な展開がおもしろくありません。

この映画を少しだけ紹介しますと、極端な気象(気象現象に異常はないそうですが、前に読んだSF短編では、空気が意識を持って宇宙空間からやって来た気体を排除する話があった。これは異常)で雨が降り続く日本を描く。降雨を操れる能力を持った女の子がいたという話。彼女のために点のそこが抜けて、大量の雨が降り続き、海になった都会で平気で暮らしている人々描く、それはものすごい違和感を持ちます。

『スノー・ロワイヤル』デンバーの近く、かなりの積雪がある町、麻薬マフィアに息子を殺された真面目な除雪労働者が、彼らに復讐していく話。街にある二つのグループを操ってお互いに頃試合させるところは黒澤明の『用心棒』のようでした。

『ガルヴェストン』題名はテキサス州の南東部、海岸沿いの小さな町。そこへ逃げてきた3人。裏社会のチンピラ、肺がんで余命いくばくもないと思い込み、そして仲間に殺されそうなったところを逆に彼らを殺し、そこに監禁されていた娼婦もつれて逃げる。彼女は義父に犯され娘を産んでいた。義父を殺しその娘も取り返して3人はこの街にたどり着く。

 破滅の人生となるが、20年後、娘は立派に成長してと言う話でした。

 この2本はシネマ神戸ですが、ハッピーエンドではない暴力とアクション映画です。現実の1面ですかね。

僕の帰る場所ミャンマーから避難してきた家族の話。日本で生まれ育った子どもはどこへ「帰る」のかを問うた題名です。

 日本は難民を受け入れない国として有名です。命の危険を覚えて日本に来て、難民として受け入れられないにもかかわらず、日本で暮らしている外国人が現実に大勢おられるということです。

 この映画はミャンマーの情勢や日本の制度のことを、それほど詳しくは描きません。力点は、日本で生まれ育って日本語しかわからない子どもたちに対して、日本はどう責任を取るのか、というように受け止めました。

 日本で難民認定されず、暮らせないから妻と二人に子どもはミャンマーに帰っていきます。

 映画はドキュメンタリー的で、夫婦と親子の関係、彼らの感情がよく伝わってきました。

『空母いぶき』は別途詳しく書きます。太平洋上の孤島をある国が占領し、海上保安庁の職員を拘束した、という状況で、それを奪還するために護衛艦隊群とある国との戦闘を描いたものです。

 9条の下での戦闘、戦争を真面目に考えるとこうなる、という映画でした。

 西神ニュータウン9条のHP(上の欄でリンク)で短い紹介を書きましたので、そちらを読んでください。

『リービング・アフガニスタンアフガニスタンから撤退する時期のソ連軍を描く映画です。アフガニスタンのムジャヒーディング(聖戦士)の立派さが印象に残ります。

 この2本もシネマ神戸です。

『隣の影』アイスランドの映画、豪華な連棟長屋に住む隣同士、隣から「庭の大きな樹の影が気に入らないから切れ」と言われた老夫婦が、喧嘩を吹っかけて最後は殺し合いにまでなってしまうという、ばかばかしいが恐ろしい映画です。

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 それまでお互いに平穏に暮らしていたのに、隣人が再婚して新たにやってきた若い嫁さんから、ちょっと文句を言われたこと、そして自分の家でも息子の離婚騒動が起きていることから、老夫婦にストレスが溜まってきて、嫌がらせがエスカレートして隣家の愛犬を殺してしまう、という恐ろしい。

 殴り合いから武器、工作道具で持ってしまうのはなぜか。死ぬかもしれないと思いながら殴ってしまう、刺してしまう。平凡な人間たちがここまでいく。

『ある船頭の話』オダギリジョウの初監督で、主役の船頭を柄本明が演じる。はっきり言って駄作。明治から大正という時代設定、上流では橋の工事が始まっている。阿賀野川渡し船の船頭の平凡な日々の生活を、上流から流れ着いた謎の少女がかき乱した。殺人まで及ぶのはどのような話に持っていきたかったのか不明。

 それらしい雰囲気はあるのだが、それ以上のものは無い。

『帰れない二人』中国映画界の第1人者ジャ・ジャンク―監督です。でもよくわからない映画。しかも翻訳で主人公たちの生きている社会のことを「渡世」「渡世人」という言葉で表すので、私は「裏社会に生きる人間」感じで受け止めましたが、中国では具体的にどういう職業を指しているのかもわかりません。

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 麻雀屋みたいな仕事で、拳銃も持っているし「兄弟の絆」みたいなことを言うから、やくざだと思う。

 その一方で、彼らの住んでいる町が炭坑町ですたれていくのですが、どうもぴったりこない。

 そんな男女の関係、そして中国社会の変化を描くのだが、わからない。

『王の預言書』中世の朝鮮時代の古典、興夫(フンブ)伝を基にした映画らしい。愚兄賢弟という感じの昔話だが、そのものを知らないが、それと関係なく、それなりに面白く見た。

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官能小説の作家が、時の政権内部の権力争いに巻き込まれていく。両班の兄弟がいて、兄は高級官僚、大金持ちで密かに王の位置を狙い競争相手を落とし込めようとする。弟は全く逆で貧しい困った人たちを助け、戦争孤児たちを養っているが貧乏。作家は弟を助けようとするが、兄にうまく使われて、王様の前で切られようとする時、あわやという時に、民衆が押し寄せて正しい者が勝つというオチがつく。

封建社会だが、民衆こそが国の宝だと言わせる。現代韓国を反映しているよう。

『居眠り磐音』佐伯泰秀の時代小説。剣の達人、坂崎磐音が主人公のシリーズ。強さと優しさ、そして頭がいいというスーパーマンですが、映画では人間的な魅力があまり伝わってきません。

 時代小説の代表するような人気作品ですから、小説には書き込んでいるのでしょうが、映画として時間的な制約から、そのあたりをじんわりと伝わるように出すのはちょっと難しいのでしょう。

『ボーダー』スウェーデン映画、北欧の伝説にある人型の生き物トロルが、人間に紛れて生きていたという映画。

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臭いで犯罪をかぎ分けるという特殊な能力を生かして入管職員をしているティーナは、自分を「醜い」人間だと思い込んでいます。それが同族のヴォーレにあってトロルとして自覚します。

ビックリしますが、ティーナは人間の女的でヴォーレは男的ですが、性器は逆と設定されています。

ボーダー、境界線とは何かを考えると、人間とトロル、男と女、文明と自然、犯罪と合法などが考えられる。