映画大学や自治体学校

に行くと、いつも何冊かの本を買ってきます。今年も映画大学で「伊丹万作エッセイ集」(大江健三郎編)、自治体学校では「人口減少時代のまちづくり」(中山徹)「地域小売商業の再生とまちづくり」(小川雅人)です。 整理が悪いもので、読んだ本はどこか、行方不明になることが多く、今その状態で、そのうち出てくるでしょうから、そのときにきちんと書きます。とりあえずの印象です。
 伊丹万作は戦前と戦後のエッセイですが、きわめて感性が鋭く、しかも論理的であったようです。面白いエッセイですが、きっと映画監督としては不向きではないかと思います。
 「人口減少時代」は多くの示唆を与えてくれました。ちょうど仕事で都市計画のマスタープランを考えていましたから、それと絡んで、今後のまちづくりを考える上で、重要な論点が見えてきました。
 それは、これまでの都市計画は法的にも国の補助制度も、そして当然ながら実践においても、都市は膨張し地価は上昇することを前提に考えられていたということです。今後そういうことはないということを前提とするならば、これまでの都市計画を総括するだけではなく、学ぶべきは学ぶとしても、新たな考え方に基づかないと、今後の都市計画は考えられないということです。
 例えば区画整理事業は、それによって土地の利用価値が上がり評価を反映した地価が実現することによって事業が成り立ってきました。それが評価は上がっても、市場原理によって実際の地価が下がると、これまでの事業の考え方では成り立たなくなります。
 この本には回答はないのですが、都市計画法と事業の多くの点で問題提起をしています。今から全国の研究者がこのテーマでこぞって書くでしょう。そして大都市の担当者もこの問題提起を念頭にマスタープランを書くでしょう。
 神戸の担当者がどうするか、これに気づくかどうかが気がかりです。