私の読書は4〜5冊程度を同時に読むというもので、今もそうで、電車の中で読む本、風呂の中、寝る前などと、それぞれ別の本がある。あるいは途中で止まったままのもの、買ったけれどもそのままであったり、図書館で借りたけれども、結局一頁も開けることもなく返す本もある。
 だから、最後まで読み通す本は、結構面白いのではないかと思う。それで、面白い本をここで紹介しておこう。17日に紹介したのは、8月に読んだ本の一部で、最近読み終わった本で他にもあるが、さかのぼって紹介するのは、基準がなくて紹介したいものばかりになるから、今日から後に、読み終わったものだけにする。(特に紹介したい本は例外的にすることにしよう。今は思いつかない)
 まず今日読み終わったのは「生物多様性とは何か」(井田徹治:岩波新書)である。地球環境問題は、現代社会の一番重要な問題であるが、生物が存在するのは銀河系ひろしといえども、地球が一番であろう。それはまったく奇跡に近いと思うが、それが微妙な食物連鎖によって成り立っていることもすばらしい。
 今、地球の歴史の中で最大の危機になっているといってもいいだろう。生物種の現象は何度もあったそうだが、これほど多様になった地球生命の時期に、人類という一つの種族の活動による多種の生物種の絶滅はないだろう。
 それを多くの取材によって書き尽くしている。レッドリストという言葉は知っていたが、その活動の基盤である環境の破壊という、もはや後戻りできない状況が生まれている。人類の経済活動であり「豊かさ」の追求の中で生じた結果である。
 しかしそれは結局人類の発展や豊かさを破壊する、という結果になる。人類は、今そのことにも気づいている、という。少なくとも一部の人々はそれを知り、地球のあらゆるつながりを持って、それをとめるために活動している。
 人類は社会的な動物であり、つながりを持って発展してきたが、現在の危機にあって、やはりつながりでもって地球上すべてを網羅する運動があり、誤った道を正そうとしている。温暖化防止もそうだし、ここで紹介されている生物多様性を守る国際活動も、徐々にではあるが広がっている。それは地球上の生物の生存、絶滅との競争になっていて、今せぎあっているようだ。実に面白い本だった。