11月例会学習会

 11月12日「最近の中国事情」講師は前田清(日中友好協会兵庫県連合会会長)さんです。とても面白くて、しかも中国の素顔がよく分かりました。さらに今後の日本との友好や中国の変化の可能性まで言及していただき、大変勉強になりました。

学習会の様子

懇親会も楽しく
 前田さんの日中友好協会、中国とのかかわり、そして最近の問題として「尖閣列島問題」「ノーベル平和賞問題」の話、最後は「日中の今後」でした。しかも参加者からの率直な質問にも、前田さんの忌憚のない考え方を示していただきました。ありがとうございます。
 前田さんは1935年生まれで、戦前戦中は軍国少年として育ち、1945年8月15日の敗戦の時点で、教師が手のひらを返した姿を見たのが教師の道を選んだ遠因だといいます。大学時代に日中友好協会に入ったそうで、それから50年以上係わってこられて、先ごろ会長になったと言います。
 国交が回復する前の1965年に初めて中国を訪問して、そのときの40日間の経験が、その後の中国の見方に影響を与えたそうです。
 国賓級のもてなしで、劉少奇国家主席周恩来首相などと北京で会って記念撮影。そのとき毛沢東党主席はいなくて、後日上海で会ってまた記念撮影。これが今でも大変な値打ちもので、この写真を見せれば今でも大歓迎してもらって、みやげ物などが半額になるそうです。毛沢東と会うことができたえらい人と見てもらえると言います。
 現在の中国でも毛沢東の個人的な人気は非常に高いそうです。
 現代中国について、興味深い話をたくさん聞いたのですが、メモした範囲で簡単に書きます。
 まず尖閣諸島問題ですが、「中国は自信がない」と言われました。前田さんはここ何年か行かれるたびに中国で売っている地図帳を買って帰るそうです。中国の発展は急激ですから色々と変わるようです。そこで国境がどのようにかかれてあるか調べると、南のベトナム、フィリピン、ブルネイなどでは、海の部分がかなり、公海と思しきところまで食い込んで線が引いてあるそうです。
 ところが尖閣諸島ははっきりと書いていないと言います。
 今のところ、日本はかなり中国にやられている印象ですが、どうすればいいかについては、ズバリ「何度も日本の主張と繰り返す」「国際世論に訴える」と言うことだそうです。しかも「絶対に戦争はしない」ことを明確にしておくことも大事です。中国人の一部は大陸棚国家で大国意識丸出しになっていますから、沖縄も中国の領土と言っているようです。
 日本の政治家が中国に行ってきっぱりものをいえないのはなぜか。それは「日中戦争侵略戦争に対する明確な反省がない」ことです。村山富一さんは、割合とはっきり謝りましたが、それ以外は心から謝っていないし、日本軍が行った実態も知らない、だから「どこかに後ろめたさがある」そのとおりだと思います。そして強い態度に出られない。
 それはまさに国益に反することです。田母神や西村真吾などといった厚顔無恥なやからは別として、一国の首相ともなれば、恥知らずを売り物にするのはあまりいないから、差しさわりのない範囲での発言になると思います。
 一度すっきりと謝罪して、その上に友好関係を築くことが必要です。
 そしてノーベル平和賞の問題。平和賞と経済学賞は非常に政治的に選出されている、と言う指摘がありました。佐藤栄作が選ばれるのですから、その指摘は間違いありません。経済学賞もマルクス経済が誰も選ばれないのは意図的です。
 そして中国の人権問題が平和賞選出委員会(委員長がノルウェーの元労働党党首)の標的になっていると言います。しかし中国のやり方は間違っている、と断言されました。言論には言論で対応するべきで、権力による言論の抑圧はマルクス主義ではありません。
 劉暁波氏がなぜ拘禁されているのかは、天安門事件ではないか、と言われました。天安門事件(1989年)は中国に政権のアキレス腱のようです。現在も被害者の遺族が非公式の抗議運動、真相究明をしているようで、劉暁波氏はその要になっているようです。彼を釈放すると過激な行為が勃発する可能性を恐れているようです。
 しかし文化大革命を乗り越えたように、天安門事件もきちんとした総括がないと、中国の未来はないように思います。
 面白い話ではトイレ。これは汚いのと仕切りがないのが有名ですが、2001年に行った時に、北京と天津を結ぶ高速道路のサービスエリアのトイレに女の人は入らないほうが言いと言う状態だったそうです。しかし、今はTOTOがどんどん進出しているから、だいぶ改善されているようです。
 最後に中国の「民主化」は2022年に大きな変化があるという予測です。これは現在の胡錦涛体制から次期の習近平に変わって、それから新しい体制になるときに、例えば複数政党や秘密・自由選挙の実施が行われるのではないかと言うもの。
 その最大の根拠は、経済発展、そして世界中に留学生がいるということ、情報を隠蔽することはできないこと、それでも社会主義を追求することなどです。私もそのとおりだと思います。
 最近、中国と日本の共産党が交流し、さまざまな問題で意見交換を行っています。その影響の一つで、中国の柱とする思想を「マルクス主義」と言い始めたと言います。従来は「マルクスレーニン主義」でしたから、そこからレーニンが落ちたそうです。これは日本の共産党の意見の影響があると、前田さんは言われました。
 まだまだ面白い話はつきませんでした。ありがとうございました。今度中国に行かれるときには、一緒に連れて行ってもらいたいものだと思いました。