「エリックを探して」

 1月8日だった。ケン・ローチの映画とは知らずに見た。とても奇妙な映画だなと思った。サッカーファンの郵便配達の男が主人公だが、彼の悩みの相談をサッカーの名選手「エリック・カントナ」と妄想の中でするという映画だった。
http://www.kingeric.jp/
 エリック・カントナという選手をまったく知らない。だから彼が出てくることにはまったく感動しなかった。それどころか郵便夫のフランスの話のをするものだから、イギリスとフランスを行き来しているのかと思った。しかしエリック・カントナはフランス人だった。それが面白い。イギリスの映画にフランス人が入ってくるのは、やはり奇妙だ。
 郵便夫は2度も結婚に失敗し、なおかつ逃げた2番目の妻の連れ子を養うというお人好しだ。その子ども二人は、父ではない男に育てられていることに感謝していない。
 その一人の子供が、犯罪者を相手に不始末をしでかして、それを解決するのに、職場の仲間の力を借りるという、この辺がケン・ローチだ。でも、そこに労働組合が関わらないのは、ケン・ローチの失望だろうか。イギリスの労働組合は大陸の基準で行くとかなり右よりだからだ。
 最初の嫁とよりを戻すのはなぜだろう。二人の間の娘に孫の子守を頼まれて、二人が交互に面倒を見ることがきっかけだが、長年の音信不通が、そんなことで乗り越えられたのか。そこがまったくわからない。
 しかしラストシーンは、あからさまなめでたしめでたしで終わる。まったくケン・ローチらしくない。