「常識」が見えない

 全国紙と[神戸][赤旗]に目を通していますが、[産経][読売]は文化欄だけという感じで見ています。ところが、たまにいい記事も載ります。[読売]に、都市の再生に関する宮本憲一先生のインタビュー記事が大きな紙面で載りました。
 [産経]では佐伯啓思さん「日の陰りの中で」はいつも読んでいます。9月17日「常軌を逸する政治」を読み、立場や保守革新といった思想の違いはあっても、やはりそういうことだな思いました。
民主党自民党、維新の会
 民主と自民の代表選挙が行われているが、その有様もそうだし、それに代わると「期待」されている「日本維新の会」の絵空事もわかりやすい批判がされています。
 [産経]でありながら「社会保障・税の一体改革といいながら、社会保障改革はほとんど地に足がつかず、税ももっぱら消費増税だけに焦点が絞られていた」と明確にして、その後の政局も自民の問責決議賛成、谷垣不出馬と石原出馬、野田再選など「常識」では理解できないと批判しています。
 そして「日本維新の会」についても、橋下「素人集団」政党であり、その政策は既成政党批判はあっても従来の「政治改革」を過激にしただけで「実現不可能な絵空事」ばっさり切っています。
 それらは私が見ている内田樹さんや五十嵐仁さんと同じです。
なぜ安部を評価
 佐伯さんは明確に新自由主義を批判する人であるし、常識的にモノを考える人だが、この一文でも安部晋三を評価しています。「最も政治らしい政治を行おうとした」と持ち上げています。安部の言う「戦後レジームからの脱却」や憲法改正新自由主義と違うというのでしょうか。あるいは安部は保守の理念はあるでしょうが、TPPを否定しているのでしょうか。
 この辺りがわからない。佐伯さんの「常識」にも疑問がついてしまうのです。
「維新新党の課題」
 [神戸]が9月13,14,15日と標記のコラムを書いています。[上]は人材。[中]は党首が市長である問題、[下]が政治資金です。政党としての基礎的組織的な問題で、それらは当初からあったことです。政策の中身には触れていません。
 もう少し中身の説明をします。人材ですが、衆議院選挙で「過半数獲得」できる人数を「維新の会」が集められるのかということです。水滸伝のようには行かないでしょう。全国には埋もれている有為な人物はいると思いますが、橋下、松井といった幹部の人間性を見て集まる人間の質は、推し量れます。どんな団体でも幹部の人間性が問われると思います。
 次に大阪市長を務めながら、政党の党首が出来るのかということです。誰が考えても無理だと言いますが、橋下は出来ると断言しています。彼の言うことに従う人間だけを維新の会に入れておけばできるでしょうが、国政での対外折衝を任せる人材がいるのかということです。それはいないでしょうから、早晩、橋下が出て行くと多くの人間は思っています。
 そして最後はお金です。橋下は自腹で選挙に臨む覚悟を迫っているそうですが、それは政治は金持ちだけがやれば良いといっているのと同じではないでしょうか。
 維新の会に集まった人々は、考えも足りないと思いますが、1千万二千万円を調達できる人はそんなに多くないでしょう。橋下とその側近連中に解決策があるとは思えません。
 それらをどう乗り切るのか、と真面目に考えれば重要な問題であり相当困難なことです。しかし橋下党ということを考えれば、彼一人が総理大臣として残ればよい訳で、あとは瑣末な問題と考えれば、処理の仕方もあるのでしょう。
 政策も同じです。佐伯さんが安部と橋下の接近を見て「理念が一致するとは思わない」と心配していますが、そういう問題ではないということです。