12月5日(夕)英国の「寅さん」

 こんなことを書かれたら、一言言いたくなります。
 [神戸]夕刊に「随想」というコラムがあって、その日は武田徹(ジャーナリスト、評論家、恵泉女学園大学教授)さんという方が表記の見出しで書かれていました。
 英国育ちの奥さんの言葉を援用して、007映画が英国では国民的映画で「〈寅さん〉シリーズみたいなもの」といい、ロンドン五輪開会式の女王とジェームズ・ボンドをつかったアトラクションを「ユーモアを交えつつ自国の誇りを示す英国流ナショナリズムの柔軟さに感心した」と評しています。
 女王とかジェームズ・ボンドがどうとかは、それは好き好きだから結構なことだと思いますが、国家権力のいわば番犬の007と180度違う車寅次郎とその映画を引用されるのは、〈寅さん〉シリーズのファンを自認する私としては、えらい迷惑と言わせていただきます。
 車寅次郎は殿様だって好きになるし、お巡りさんに弱いこともある。時には弟分をいじめる。しかし国家権力の手先には間違ってもならない。得をしたいがために、擦り寄ることもない。
 この人、ジャーナリストという肩書きですがあまりその辺のことがわからないのか、権威に擦り寄ることをあまり恥と思わない、流行のジャーナリストなのでしょう。