5.3集会「戦争なんて知らない―『断絶』と向き合う」

朝日新聞労働組合主催の表記の集会に行きました。3年連続です。
27年前、1987年5月3日朝日新聞阪神支局が赤報隊と名乗る右翼団体に襲撃され新聞記者が殺されました。その意味を「問い続けている」という集会で、今年は「平和主義」の危機がテーマです。
パネリストが面白くて楽しみにしていきました。古市憲寿社会学者)西谷文和(フリージャーナリスト)中田整一(ノンフィクション作家)田母神俊雄(元航空幕僚長)とコーディネーターは速水健朗(ライター)です。
大体が護憲派、穏健派ですが田母神さんははっきりとした改憲派、安倍首相に近い人です。なかなか聞きに行くこともない人ですから、どんなことを言うのか聞きたいと思いました。
意見は予想の範囲でしたが、私がなるほどと確認した点は3つありました。
一つは、全員戦争はしたくない、戦争を防がなくてはならない、という点は共通していました。その中で田母神さんの意見は、憲法9条を廃止し集団的自衛権を認めるなど、戦争の準備をすることが戦争の抑止力になる、という主張です。
なるほど9条があるから日本の平和が守られてきたという意見と対立する意見です。今までは良かったが、これからは中国や北朝鮮と戦争しないためにも軍備が必要、核抑止力という意見です。
そして、2点目はこれと密接に結びつく周辺諸国との関係構築です。ドイツの事例を出して、周辺諸国歴史認識などを共有することでEUのリーダーになったという中田さんの意見に対して、田母神さんは「絶対できない、必要ない」と言い切ります。
東京裁判で確立された戦争史観を彼らは「自虐史観」といい、日本の伝統的な皇国史観「誇りある歴史」を教えるべき、といいますが、彼ら自身もそれは周辺諸国に理解されないということを知っているということです。
3つ目は、歴史観はなかなか共有できないだろうが、意見交換をすれば焦点、論点が浮き上がってきて、問題意識は大体誰の目にわかるように共有できるということです。憲法問題をわからない、という人は多いですが。きちんとした意見交換を聞けば「わからない」ということはないのではないか、と思います。