1月30日仲上健一(立命館大学特任教授)さんに来ていただいて、標記の学習会を行いました。簡単に内容を書いておきます。
なお例会は2月15日16日です。
『ザ・ウォーター・ウォー』がボリビアの「水戦争」といわれる、水道事業の民営化に反対する国民の抗議騒動を背景にしています。昨年、日本でも水道事業の民営化に道を開く法改正が通りましたので、標記のテーマで、日本や世界の実情を学ぼうと考えました。
水は生活の必需品
水が人間、人間社会にとってどれほど大事かということから、話は始まりました。
人間にとって3・3・3の法則があるということです。
空気を我慢できるのは3分、水は3日、食料は3週間ということです。
社会的には過去の実例で見ると、20%以下の給水制限でため水が必要になり、給食の献立に影響が出ます。34%以下の給水制限で入浴回数の減、工場の創業時間短縮。47%で疎開や大学が休校したそうです。
日本の水道事業は明治維新以後に、外国人技術者の指導で大きく進みました。神戸の関わりある人ではイギリス人技師バルトンがいます。
現在の問題
水道法「改正」は①人口減少②管路等の老朽化と更新③自然災害多発による水道被害④担当する職員の減少、という問題に対応するためといっています。しかしそれらは③を除いてかなり以前から予想されていたものです。
現在でも年1000件ぐらいの水道管破裂事故があり、管路延長66万kmのうち12%が耐用年数(40年)を越えており、10年後には20%、20年後には40%が越えるといわれています。
担当職員は減少していて、小さな市町村には技術者ほとんどいません。
しかしこういう問題は民営化によって解決するものではありません。
現在の、自治体が事業に責任を負い、個々の作業を委託する方式から、企業に運営権を売り渡すの公的責任の放棄です。しかも企業が儲けられるのはある一定以上の人口集積があるところで、本当に大変な地方の解決にはなりません。
世界の水ビジネス
水事業市場の9割はスエズ社、ヴェオリア社、テムズウォーター社が占めていて、競争原理など働きません。
英国9割、フランス8割近く、ドイツ2割が民営化されています。日本は5%にも足りません。
しかし歴史的に企業が運営してきたパリ市の水道は100年ぶりに公的企業に変えました。民間企業では、水の質も量も守れないという判断をしたのです。
ベルリンやフランクフルトも再公営化に転換しています。
利益を追求する企業では「命の水」を守れないことがはっきりしてきました。地球環境と社会生活、生命を守るために、水循環を真剣に考える必要があります。
補足
質疑応答の中で、健康的な水は水道水を沸騰させたものを飲むのがいいそうです。ペットボトルの水は開栓するとすぐ飲む必要があります。放っておくと非常に早く雑菌が繁殖するそうです。