ノーベル平和賞

 12月10日にノーベル賞の受賞式があった。平和賞を受けた劉暁波氏の欠席が日本の新聞でも大きな話題となっている。中国政府の異常な対応によって19カ国が欠席をしている。幸い日本政府は出席したが、世界の国の中で、言論の自由を守ることがどれほど重要であるかを「考えていない国」がはっきり出てしまった。
 劉暁波氏の中国における罪がどの程度のものかは知らないが、少なくとも殺人とか窃盗ではない。国家反逆罪というが言論活動に関わっていることが明らかになっている。思想や言論を取り締まる法律は悪法に決まっている。これは私の中での明確な基準だが、世間一般の民主主義を常識だと思っている。
 まずその国の名前を調べた。ロシア、カザフスタン、コロンビア、チュニジアサウジアラビアパキスタンセルビアイラク、イラン、ベトナムアフガニスタンベネズエラ、フィリピン、エジプト、スーダンウクライナキューバ、モロッコ。ここに日本が入らなくてよかったが、私としてはキューバベトナムベネズエラが入っていることは困ったことだと思う。彼の国は社会主義をめざしているはずだから、中国と同調するのは困る。これで社会主義をめざす国は言論の自由がない国となってしまった。
 日本共産党はその点ははっきりしていると思っていた。12月11日付けの赤旗に「国際的到達を踏まえた対応を」という記事が出た。中国がこれまで人権を守る国際条約に署名していることが紹介されている。1948年世界人権宣言、1993年世界人権会議が採択したウィーン宣言がそれだ。そこには「人権と基本的自由は普遍的な性格を持っており、言論や表現などすべての人権と基本的自由を『助長し保護する』ことは『体制の如何を問わず、国家の義務』だ」と定められています。
 中国は二重に誤りを犯しています。それは言論の自由を制限していること、国際条約を踏みにじって平然としていること。しかも他国にまで圧力、影響を与えています。そういう極悪非道(それは金権腐敗、食料主権の放棄、消費税問題、整理解雇とは別次元だが、より根幹に関わる)な行いを「(中国が)国際社会の理解と信頼を高める対応をとることを強く望むもの」と言う程度でいいのでしょうか。
 やはりここは、口を窮めて批判するべきでしょう。なにしろマルクスがそんなことは許すわけがないじゃないですが。また社会主義のイメージが大幅にダウンします。不破さん、ちゃんとものを言うべきでしょう。