「100歳の少年と12通の手紙」

 いい映画でした。いやほんと、久々にそう思う映画です。どうでもいいのですがタイトルが「100歳」となっているのが気になります。話が始まって12日間、一日10年と勘定して生きるのですから120歳で、しかし死ぬ間際には手紙が書けないから12通はないのでは、とつまらないことが気になりました。
 しかし抜群のアイデアで面白く映画を仕立てていると思いました。それもそのはずで、原作があってそれは40カ国で翻訳されると言うベスト・セラーですから当たり前です。
 私は、病気とか手術とかの映画はまったくだめ(「孤高のメス」は途中で映画を見るのをやめた)で、これも「いやだな」と言う予感がしたのですが、結構見せます。ぐいぐい引っ張られました。
 白血病で死ぬ少年が主人公で、病気の子どもたちが入院している病院が舞台、にもかかわらず彼らの生きている毎日が生き生きと描かれています。それはまったく当たり前のことですが、誰でもいつかは死ぬわけで、死ぬまでは生きています。そして病気も彼自身の一部なのです。これは映画の台詞に出てきますが、少年とは思えない深い言葉、あるいは相手になる元女子プロレスラーのピザ屋のオーナーも人生訓をたれます。そこがちょっと気になりました。確かに彼女は苦労しているようですが、そんな分かったようなことを言うなよ、という突っ込みを入れたくなります。
 しかし感動的でした。