9月の映画

9月に見た映画は『返還交渉人』『オーケストラ・クラス』『寝ても覚めても』『泣き虫ショッタンの奇跡』『Viva!公務員』『沖縄スパイ戦史』『運命は踊る』『1987、ある闘いの真実』8本でした。
いっさいの忖度もなく
力があると思ったのは『沖縄スパイ戦史』です。

これまでもアジア太平洋戦争末期の沖縄戦を描いた映画やドラマを見てきました。圧倒的な物量に潰されていく日本軍、『ひめゆりの塔』など住民を巻き込んだ悲惨な戦いや住民を守らない日本軍を描いた映画もありました。
この映画は、それら以上に、資料を丹念に拾い集めて、正規の軍隊によらない戦争を大日本帝国は沖縄の人々に強要したかを明らかにしました。
タイトルについている「スパイ」の通り、スパイ養成機関である陸軍中野学校出身の兵士が指揮官になって、まだ10代の少年兵たちを上手に使って、上陸してきた米軍を攻撃させました。

たくさんの少年たちが死にました。病気や怪我で動けない少年を殺しもしたし、精神がおかしくなった少年も殺しました。
その指揮官は戦後も生き延び、生き残った少年兵たちと死ぬまで交流を持った、といいます。
また波照間島では住民をマラリアが蔓延る西表島強制移住させて何千人も死者をだした。それを指揮したのも中野学校の兵士だった。その目的は住民の飼っている牛やヤギを食料として奪い取るのためだった。
映画は味方と信じていた日本軍によって騙され殺された住民を描きました。そして今また「経済発展」と「防衛」を売り言葉にした自衛隊基地が増強されている状況を締めくくりとした。
沖縄戦の実態は、広島長崎の原爆と同様に、アジア太平洋戦争が自国民に何を強いたのか、大日本帝国の軍隊が守ろうとしたものは何なのか、を良く現しています。
それに比べて『返還交渉人』はがっかりでした。

沖縄を米国から取り返すために奮闘した外交官を描いた映画で、自民党政権下、対米従属に支配された外務省では頑張ったのかもしれませんが、結果的に密約があり米軍基地が沖縄の人々を苦しめている実態から目を背ける映画でした。
あとからNHK製作と知りました。
その他も短く
『Viva!公務員』は面白い映画でした。イタリア人気質を自虐的に笑い飛ばしながらの権力批判が見えます。いつか丁寧に書きます。
オーケストラ・クラス』はフランスの小学生がプロにバイオリンを習って、その楽しさにめざめると言う感動的な映画。色々な子供がいるのを絵描いていました。『寝ても覚めても』は評価が高いようですが、私には合いません。『泣き虫ショッタンの奇跡』は奨励会から脱落したサラリーマンが再度挑戦して将棋のプロになった実話の映画です。若いときはなぜ駄目で、30才を超えて強くなったのはなぜか。わからない。『運命は踊るイスラエル、息子が戦死したと言う誤報によって崩れる家族を描く、が私にはパレスチナの若者や家族が気になる。『1987、ある闘いの真実』はすごい、でも酒によって半分寝ていた。もう一度見る。