第1部は1973年でした。ほとんど、日本列島を沈めることで終わってしまった。そしてその後の日本人がこの小説で書かれてある。大部466頁であった。率直な感想は「まあまあ」「可もなく不可もなく」です。なぜなら現実世界の動向に引きずられていると思うからです。
ですが読み通せる筆力もあったと思います。
第一部を読んだときは興奮しました。地球の動きを描く小松左京のダイナミックな想像力は魅力的でした。(映画は陳腐でした。2006年の再映画化は言葉がない)
第二部の放浪する日本人、日本民族はどのようなものになるか、期待は大きいものがありました。ですが自然科学関係は予測できても、社会科学関係は難しい。不確定要素が大きすぎて、なかなか方向を定められないことと、流れが急展開する可能性もあることです。
ですが大胆な仮説があってもいいように思います。
この映画は、日本列島が沈没するような大異変は、時間的にも空間的にも大きな異変の引き金であり、続くもの、それが、地球が氷期に入り人類絶滅の危機となる、というものです。
そしてラストは、恒星間宇宙旅行です。
それはいいのです。ですが社会体制、地球全体の人類社会のあり方を希望的に描くべきではないでしょうか。小松左京は若いときに日本共産党に入りひどい目にあっています。大変失望したと思いますが、マルクスの考えた社会発展を取り入れてもよかったのではないでしょうか。