4月例会学習会「演歌ディオ『こまどり姉妹』の時代」

 4月1日山崎整(神戸新聞姫路支社長)からお話いただきました。


 副タイトルが「全盛期の昭和30年代を中心として」とあるように、こまどり姉妹を追いながら、その時代の歌謡界、社会の動きを紹介していただきました。山崎さんのプロフィールを見ると、文化や生活文化の分野を中心に活動され、地域の伝統文化などの本も多数出されています。
 略譜を見るだけで、彼女たちの極貧ともいえる貧しい生い立ちと、そこから歌によって実を立てていく姿が見えてきます。そして7年連続紅白歌合戦出場という、歌手にとって最高の栄誉を得ながら「受難、引退、再起」というのもまた72年の人生の壮絶さを物語っています。
 彼女たちの追った今月の映画が楽しみです。彼女たちの経歴などは機関誌に詳しく載っていますから、ここでは省略します。ただ「生きるがために歌を歌った」彼女たちですが、血のにじむような努力と天賦の才能からは、それ以上のものを見るものに与えると思います。
 例会が楽しみです。
http://www.kobe-eisa.com/
http://www.komadorishimai.com/
 山崎さんから、貴重な音源を聞かせていただきましたが、二つ面白いものがありました。
 一つは作曲家・遠藤実とのレッスン風景です。二人の出会いは両方に幸運でした。特に後から来たこまどり姉妹は、彼によって大ヒット作「ソーラン渡り鳥」をはじめとする多くの代表的な歌をもらって流行歌手の仲間入りをしています。
 遠藤実も大変貧しい家庭から、苦労を重ねながら歌手へ、そしてそれに失敗して作曲家へと転身して、その頃は成功をつかみかけていた時代です。
 熱心な師匠と素直な弟子のいい雰囲気があります。
 もう一つは「神戸音頭」です。これは昭和40年(西神戸都市再開発記念=神戸市・神戸新聞社選定)に歌ったもので、新長田の「神戸デパート完成」を祝ったものです。この事業は全国初の再開発事業として、神戸の都市経営の見本として作られました。中小業者が共同で運営するデパートであったが、火災によって経営の形を変え、そして阪神淡路大震災が襲います。
 今は大規模再開発によって、昔の面影は影も形もないが、その当時は、時代の最先端を行くものです。その名残を聞いて、涙が出る思いになりました。