第53回自治体学校=奈良

 7月23,24,25日と奈良で自治体学校があり、参加した。映画大学と違ってたくさんの講師の話を聞けるわけではないが、それでもリレートークを含めると7人だから、数は一緒だ。
 中身の紹介は順次やっていくが、全体的な感想は、難しい局面ではあるが各地でがんばっている人はいるし、新しい展望を開く準備もある、それはこれからの戦い方如何だな、というところでしょうか。
 ここで一句「奈良の道 現代の風 どこへ吹く」
 夏の前半戦の終了です。日本の良心的な人々の意見を聞くことが出来ました。後半は、まったく私的な時間をすごすことになります。帰省して田んぼを見て回るとか、鮎獲りです。またそのときは映像を載せます。
記念講演「憲法どおりの日本(社会)をつくる 人間の復興か、資本の論理か」石川康宏(神戸女学院大学)

 石川先生の役割は、何か新しい理論を発見するとか、注目すべき視点に立つということでもない。色々言われていることを、簡明に関係つけて、わかりやすく説明するということだと思う。弁証法唯物論の視点から見れば「こうだ」というのが、すっきり入ってくる。
 よく勉強している人たちではなく、そこそこ問題意識は持っているが、人に語るには、様々な事象を明快に関係つけてしゃべれない人に「なるほど」という指標を示す。
 私もこれを使わしてもらおう、という話が何点かあった。
リレートーク(寺内順子(大阪社保協)池田和弘(京建労)小林竜雄(京都市職労)小川英雄(福島自治研)佐藤一則(岩手自治労連))
話の印象としては、公務労働の現場が本当に厳しくなっているという感じで、しかもそれは民間企業、労働者全体が、それ以上に厳しくなっていることの反映、ということだけではなく、本来の公務労働が切り捨てられているという、意味だ。
 だから、公務労働者のおかれている環境の問題よりも、従来なら公共サービスを受けることが出来ていた人々が放置されている。
 危機に弱い日本、というと右翼的な人々の言い草だが(彼らは管理する立場からしか物を見ない。本来、災害等が直撃する人々を見るのが、危機管理と思うが、そうではなく国家という抽象的なものを守るような言説が多いように思う。)危機の時に対応できるのが公的な労働だと思う。当然、自衛隊も含めたらいいと思うが、私的な利益とは関係なく、労働力を提供する人々が多くいることが、安心安全な社会である。その意味で、欧米諸国に比べて公務員の数が格段に少ない日本、それがまだ削ろうという政治的傾向に、ますますの危機を覚える。

「人口減少社会と私たちの暮らし」中山徹(奈良女子大)

 中山先生の話を昨年に続いて受けた。この数年の、私の問題意識を顕在化させてくれる講座である。人口動態という、社会の基本的な構成要素、それも相当高いレベルで予測可能な要素を、みんな無視してきたが、ここに来て、様々な学者が、それぞれの分野で分析を始めている。
 都市計画もかなり遅れているが、人口減少に対応したまちづくりを考え始めている。まず学者レベルが動かないと、実務者は目の前のことだけにおわれているから、「100年の大計」に意識が行かない。
 それこそ粘り強く、早急に変えていかなければならない。
「充実した地方自治の担い手を育てる」中嶋信(徳島大学