消費税増税反対

消費税しか言わない連中
 野田政権は消費税増税を、かなり強引に決めた。財界が全面的に応援しているし、全国紙も消費税増税を煽る。しかし民主党内でも反対が強いし、世論調査でも国民的な反対の声が58%という数字もあがっている。国民は負担が増えることを「単純」に嫌っているように見えるから、新聞も有識者社会保障制度を維持するために、負担は必要と説く。その負担は消費税増税しかないようにいう。
 税金はお金を持っている人から出してもらう、というのが私の考え方ですから、消費税よりも所得税増税、高額所得者の税率を元に戻すことと、株式売買の利益や配当金等の税率を所得税よりも上げることである。それを新聞も有識者もあまり言わない。
 さらに相続税贈与税の強化が必要と思う。10億円や20億円ぐらいの遺産なら、応分の相続税を払ってもらえばいいが、100億円も200億円も資産が膨れれば、それを個人が相続するのではなく、国家や自治体に引き継がれるべきだと思う。それほど資産をためるのは、個人の自由だが、それを子孫にだけ相続させるのはおかしい。
 その話は、別の機会にするけれども、格差が拡大しているといいながら、マスコミや有識者は大金持ちに優しい。
肝心のことを言わないのはなぜか
 12月31日神戸新聞橘木俊詔先生も、社会保障改革と財政危機のために「消費税率引き上げは正しい」と説く。小沢一郎等が反対を言うのは一貫性を欠くと批判し、景気が悪い、あるいは悪くなるから反対というのも「根拠薄弱」という。
 しかし「貧困の撲滅と公平性の実現」が必要で、国民も応分の負担が必要というのなら、それが期待できる税制は、消費税よりも高額所得者への増税でしょう。その指摘をなぜ避けるのか。実現が「困難」だから言わないのか、と疑ってしまう。
 消費税の逆進性を避けるためには、生活必需品の軽減税率導入が筋というのは、納得できる。しかし、その前にもっと本質的な消費税の持つ重大な問題を指摘するべきではないか。
 「消費税のカラクリ」(斉藤貴男 講談社新書)に詳しいが、それは消費税は、モノを買った人に転嫁できる税ではなく、売買関係の中で「弱いもの」が負担する新自由主義的な税金だということだ。消費税を含めた収支が赤字であれば所得税は支払わなくてもよいが、「消費者から預かっている」消費税は払わないといけない。例えそれが転嫁できなくても、税務署は取り立てる。
 お金がないところから取り立てる、だから滞納額が一番多い。
 圧倒的多数の中小・零細企業は赤字だという。だから消費税引き上げはそこに一番厳しい。そのことを言うべきだ。
財政赤字の原因を明らかにするべき
 財政赤字の規模は、国・地方の長期債務が約1000兆円、GDP比二倍近くなっているのは世界の中で最悪だ。このままでは国家が破産する。その原因は社会保障制度であるように、大宣伝されている。社会保障を享受している国民が負担するべきであるし、「社会的弱者」も我慢するべきであるという宣伝もある。
 1980年国債残高は70兆円、地方債は30兆円ぐらいだった。その後うなぎのぼりに借金は膨らんだ。その責任は国民にある。なぜなら日本は民主国家で国民は主権者であるからだ。だから、財政危機に際しては、その負担はかぶらなければならない。
 しかしその原因を明らかにするべきだろう。それを抜きに財政危機の対策を考えると、対策にならないし「悪い奴ほどよく眠る」様なことになる。
 私が考えると、1980年代以降国債・地方債が急増して行ったのは①景気対策と称した公共事業、②金持ちと法人税の減税、③バブル崩壊時の「公的支援」、④社会保障が増えるときに適切な制度を考えなかった、ということだろう。
 それがあたっているかどうかは、別にしても、それを明らかにせしないで「公務員の給料を下げろ」は納得できない。
 昨年の12月31日神戸新聞の社説「消費税増税」は概ね納得するものの、「国会議員定数や公務員給与を削減する等、実を削る姿勢を明確にする」とは何たることか。それらは無駄なのか。
 無駄で言うのなら、まず政党助成金、米軍思いやり予算、軍事費、米軍基地経費など、考えることなく出てくるが、それは神戸新聞にとって削るべきではないと思っていると考えているのか。