警官小説3冊

 年末から警官を主人公にした面白い小説を読みましたので紹介します。いずれも図書館から借りてきました。
「警官の紋章」佐々木譲 
 お気に入りの佐々木譲です。北海道警察裏金事件を舞台にした一連のシリーズ(「笑う警官」「警察庁から来た男」「警官の休日」は読みました。「密売人」はまだです)ものの一つです。表の仕事はサミットの要人警護が進行し、裏で若手警官の失踪、もうひとつは道警、検察、税関が絡んだでっち上げ犯罪と不正捜査を暴くという三つが微妙に絡んでいきます。
 いやすごい力量です。一つ一つは、そんなに込み入った事件ではないと思いますが、それが数人の警官の絡み合いで、緊迫した相乗効果を生んでいます。
「禁断-横浜みなとみらい署暴対係」今野敏 
 今野敏はキャリア警察官を主人公とする「隠蔽捜査」シリーズしか知らなかったのですが、かなり長い作家生活があります。SFを書いていた人です。私はぜんぜん知らなかったのですが、しかしそれを知って意外な感じがします。
 「隠蔽捜査」はキャリア警察官の視点が嵌っていました。しかしこれは一転して型破りの所轄刑事が主人公です。「ハマの用心棒」というあだ名のマル暴担当刑事です。
 横浜の様子がおかしい、ヘロインが出回っていると、主人公たちが嗅ぎ回っていると、暴力団が関係する殺人事件が起きる。そして中国から武装警察隊が来る、と話が大きくなりそうになってが、まあそこそこで真相が明らかになってお仕舞い。
「見当たり捜査官」戸梶圭太
 見当たり捜査ってのは本当にあったのですね。私は知りませんでした。指名手配の犯罪者の顔を覚えて、街頭を歩き回って捜査をするという、この本のとおりです。
 この作者、戸梶圭太も余りよく知らなかったのですが、非常に多くの本を出し映画監督や音楽もやっています。才能ある人ですね。
 作品はユーモアあふれる軽い感じのミステリーです。
 有能でもなければ、一所懸命でもない、グズグズの見当たり捜査員が主人公です。深みがないですが、それがいいのかもしれません。また機会があれば読むことにしましょう。 
 やはり佐々木譲が一番私に合います。