小森陽一講演「『平和』と『絆』」、朗読劇『凍土(ツンドラ)に生きて』

10日は忙しい日で、同じ日に、この二つも聞いた。

小森さんの話は、現在の社会的政治的情勢と九条の会の役割を、わかりやすく話してもらった。ただ、これが高齢者生協の集まりであったがゆえに、突っ込んだ話しにならなかったことが残念だった。
この5年間で3回ぐらい聞いているが、同じ主旨であっても、材料を豊富に持っておられるのはさすがだと思う。
凍土(ツンドラ)に生きて」は、神戸労演(現演劇鑑賞会)の元会長である細川俊三さんのシベリヤ抑留という体験を元に作られた朗読劇です。
 演じることは素人という人たちによって作られた朗読劇で、その点では、不満な点はありますが、これを作り上げた熱意には拍手です。シベリア抑留という旧ソビエト連邦による戦後の悲劇の真相を、ソビエト側の封印されていた資料が、ソビエト崩壊後に明らかにしています。
 敗戦後60万人の兵士がソ連軍によって、シベリアに連れてこられて重労働につかされという不当な事件は何故生じたのか、その一割が死亡するという過酷な労働は、誰の責任なのか。
 それは戦勝国ソビエトが、その復興に労働力を必要としたことと、敗戦国日本が国体護持、天皇を守るために、棄民政策をとった為だといいます。戦後日本政府は、60万人のシベリア送りを知りながら、指一本動かさなかったことも明らかにしました。
 これは、戦前戦後を通じた、天皇制国家の犯罪です。大逆事件治安維持法の犠牲者、そしてレッドパージの被害者のみなさんが、その名誉回復と賠償を求めた訴訟を起こしています。そのことに私たちは、もっと関心を示すべきです。
 それだけではなく『蟻の兵隊』や中国残留孤児、従軍慰安婦など忘れてはならないこと、明らかにするべきことが多くあります。その犠牲者の裏で、大儲けをして地位と財産を築いた人々がいます。
 韓国の人々に比べて、なんと忘れやすい人々かと思いました。