岩波書店の標記の本を読みました。1940年以前に生まれた方41名がそれぞれのスタイルで「70年談話」を書いています。
私はいたく気に入りました。
残念ながら意外な人はいませんが、総理大臣経験者が海部俊樹と村山富市の二人というのは、意外といえば意外です。もっと出せば良いのにと思います。
小泉純一郎、細川護煕など、他の人とは方向が違っても、気ままに言うだろうから、面白そうに感じます。ちょっと岩波流の「おりこうすぎる」のも考えものです。
それぞれが良いのですが、中でも惹かれたフレーズを紹介しておきます。
梅原猛「日本国憲法は外から与えられたものではなく、日本のこのような伝統に沿ったものであると思う。現在の安倍政権の政策はそのような伝統の精神を脅かすものではないかと私は憂慮しているのである」
金子兜太「郷里の人たちは、大学に進学した私の顔を見ると『兜太さん、戦争に勝てば生活が楽になるんだろう』『偉くなって戦争に勝ってくれよ』と言ってくる。そうした声を聞いているうちに、理不尽でも戦争に勝って郷里の人たちを救わねばならない、そう思い込むようになっていったのです」
高畑勲「この絶対の歯止めをなくせば、次なる歯止めがいかに掛けにくいか、戦前戦中から今日の原発事故にいたる私たち日本人の、空気を読んで大勢に順応し続ける『ずるずる体質』を見れば分かる」
山田洋次「その昔の植民地時代の中国の日常生活の中にあった民族問題、ぼくたち日本人が中国の人たちに対して行ったさまざまな差別的行為や発した侮辱的言葉はほとんど記録には残されていないし、植民地で育ったぼくたちは恥ずべき記憶としてなるべくそれを口にしないで来た」