『新聞記者』『工作/黒金星と呼ばれた男』

 

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標記2本の映画の感想を別々のところに描きました。『新聞記者』は映画サークルの機関誌で下記の通りです。『工作/黒金星と呼ばれた男』は西神ニュータウン9条HP9月号です。

『新聞記者』空気を変える勇気ある映画

 

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国家権力は必要とあれば殺人まで犯す、と暗示する久々の社会派娯楽映画でした。『新聞記者』という題名ですが、内閣情報調査室が焦点です。

フィクションという形を取って権力の犯罪を暴く、そういう意味で頑張った映画です。政権を批判しようとすれば、不法不正な有形無形の圧力、中傷、脅迫があると描きました。

 映画公開が参議院議員選挙と重なり、全国的にヒットしています。神戸でも封切り当初は満員で、六月末から二か月のロングランです。

これはこういう映画を待っていた層がある程度いて、口コミが広がり日ごろ映画館に足を運ばない人々も引き付けたのでしょう。

このような権力の犯罪に迫る社会派映画が出てくれば、権力と対抗すること避けたがる社会的風潮が少しでも変わるのではないか、政権批判をする芸人が干されるというテレビ業界を少しでも変えることができるのではか、と思います。

映画は、政治家を一切出さず、高級官僚と新聞記者、彼らのやり取りだけを描きました。前川喜平さん等の実際のテレビ映像を効果的に使って、現実の事件との関係を暗示させ、アベ政権を皮肉りました。

政府が強引に進める特区の狙いを告発する資料が新聞社に流されます。その真偽を調査する最中に担当する官僚が自殺し、強引な隠蔽が図られようとします。そこに内調が暗躍している、と描きました。

しかし残念ながら「特区の狙い」を「軍事研究する医療系大学」にしてしまったことで、この映画は迫力を欠くものになりました。このスクープがアベ政権の下で進む、現実の民主主義社会の本質的な危機をぼやかしてしまったと感じたのです。

大学と軍事研究を批判的に描くなら、予算を絞ることで学問・研究の自由を奪い、国家に従属させている現実を直視する観点です。

この映画で内調室長が言い放つ「この国の民主主義は形だけでいい」という言葉で表される現実が進んでいます。

「国会で正々堂々嘘をいい」であっても選挙で「勝てば官軍」という嘯く権力者たちの考え方、そして絶対得票率2割以下でも圧倒的に勝ち続ける選挙制度、ここに焦点を当ててほしかった、と思いました。

『工作/黒金星と呼ばれた男』

こちらは西神ニュータウン9条の会のHPを見てください。

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