『シャドウプレイ(完全版)』『仕掛人藤枝梅安』『ブータン山の教室』『ラーゲリより愛をこめて』『リコリス・ピザ』五本でした。もう少し見たかったのですが、宮崎に走りに行ったり忙しい月でしたから、こんなものです。
短い感想を書きました。
『シャドウプレイ(完全版)』
現代中国を描く映画で、2019年4月に中国で公開されて大ヒットしました。でもかなり検閲で絞られたようです。
2013年に実際にあった汚職事件を基にしてつくられました。
広州の再開発事業をめぐり、市民が暴動を起こし、その同じ日に、事業責任者タンの転落死が生じました。事故か自殺か殺人か、それを捜査する若い刑事ヤンが動き始めます。
しかし彼に不当な圧力がかかります。ミステリー映画の面白さがありました。
やがて30年前からの人間関係に事件の根があることが描かれます。
死んだタンとその妻、事業をけている不動産会社社長ジャンとは、深いつながりがあったという展開です。
中国本土だけでなく、台湾、香港もまでも謎は広がっていきます。でも社会の矛盾に言及していない映画です。
『仕掛人藤枝梅安』
藤枝梅安は緒形拳のイメージ強いのですが、この映画は豊川悦治です。彼に比べてちょっと愛嬌が足りません。
頼まれて人を殺す仕掛人を作り上げ、彼らが、権力側にいる人間から酷い目にあった恨みを果たすところにカタルシスを感じる映画です。
2時間ですから、色々と人間関係を複雑に作ってあります。殺す相手が、幼い時に生き別れた梅安の妹だったというのは、あまりいい設定ではないです。
『ブータン山の教室』
市民映画劇場の映画です。神戸でも二度ほど上映している映画ですが、予想以上に人がきました。私も二度目でしたが良かったです。
「幸せの国」みたいな宣伝がされていますが、都会と田舎の格差は大きいし、僻地では教育も満足にないということを見せています。
国外に出たいと考えている青年が、大変な奥地(日本では考えられない、歩きも含めて1週間もかかる)の分校に教師として派遣されます。そこの生徒や村人と一緒にくらして、ブータンの魅力を知り、自分の居場所を考えるという、極めてまじめで健全な映画です。
ですから多くの人が何度も見たいと思うのでしょう。
しかし批判精神が足りないという物足りなさがありました。
『ラーゲリより愛をこめて』
1945年敗戦直後、ソ連が中国大陸にいた多くの日本兵をソ連国内で強制労働させた「シベリア抑留」を描いた映画です。私は全面的に批判しました。
アジア太平洋戦争の全体を描くとか、現代に通じる問題を提起するとか、そういう点が足りないと思いったのです。
このブログの5月6日に書いていますから、それを読んでください。
『リコリス・ピザ』
1970年代の米国の学生を描く青春映画です。私には合いませんでした。
子役の俳優、高校生のゲイリーが、学校に仕事に来ていた10歳年上の女性アラナに一目ぼれする話でした。