『小さき麦の花』『薔薇のスタビスキー』『キングメーカー大統領をつくった男』『パリ警視J』『声 姿なき犯罪者』『しあわせへの回り道』『妖怪の孫』『茶飲友達』『ロストケア』『赦し』『ボケますからよろしく』11本も見てしまいました。忙しいわけだ。
2回ぐらいに分けて書きます。軽いものです。
『小さき麦の花』
中国映画です。最初はいつの時代だろうと思っていたら、現代中国の農村でした。貧富の差が大きいと言われていますが、同じ兄弟なのにここまで違うかという話です。
家族から厄介者扱いされていた男と女が無理やり結婚させられます。男は極貧の農民、女は軽い障害を持っていました。二人にはいろいろな困難がありますが、寄り添い懸命に働きます。
自力で粘土をこねて干しレンガで家を建てるのは感動的です。
ハッピーエンドではありませんが、これが中国でヒットしたこと、そして突然に上映を打ち切られたこと、まちがいなく現代中国を切り取った映画だと思います。
『薔薇のスタビスキー』
実話に基づいているそうです。
ベルモンドが、1930年代に詐欺師の実業家、スタビスキーを演じています。なかなか貫禄がありました。
『キングメーカー大統領をつくった男』
韓国映画です。おそらく金大中元大統領をモデルにしたと思われる話です。
軍事独裁政権の下で、一歩一歩民主化に向けた闘いをする政治家と、彼を当選させるために、参謀について色々な選挙戦、政治的駆け引き、戦法を考える男を描きました。虚々実々を織り交ぜた、極めて高度な映画だと思いました。しかも面白いのです。
二人が決別するのは政治姿勢でした。大統領候補自身は韓国の民主化を目指していて、選挙戦もその考えで押し通します。しかし参謀は勝つことが何よりも大事で、その手法は何でもありだと考えました。そして彼は敵陣営へと去っていきます。
数年が経って二人はひそかに再会し、そして別れていきました。
これが事実がどうかわかりませんが、金大中の姿勢だと映画は描きました。極めて政治性の高い映画です。これをつくることが出来る韓国映画は素晴らしい。
『パリ警視J』
ジャン・ポール・ベルモンドの主演映画です。アクション俳優の面目躍如です。麻薬の闇組織と闘う映画ですが、あまりその本質、社会の裏まで考えさせるような映画ではありません。B級映画です。
『声 姿なき犯罪者』
これも韓国映画、すごいです。
韓国にも「おれおれ詐欺」があり、その本拠地が中国あったという、ものすごく大きなスケールの映画でした。
家族や同僚が「おれおれ詐欺」の被害者になった元刑事が、詐欺集団に潜入して、幾度も危機をくぐり抜けて、ついには彼らを一網打尽するという、痛快な映画でした。
彼らは大規模で、騙しの手法を考える者と実行する部隊が何組もあり、担当する地域割りまであります。しかも詐欺集団は携帯電話など声だけで、どのようにして多くの人々を騙すのか、綿密に描いています。
その手法はまさに用意周到で驚嘆するようなシナリオが作られていました。人間の欲と不安の心理に付け込みました。
見事な映画でした。
『しあわせへの回り道』
市民映画劇場の映画です。
インドからアメリカに亡命したシク教徒のタクシードライバーであり、運転免許証取得の自動車学校の指導員もしていました。
若い夫に捨てられた人気書評家が、片田舎に住む娘に会うために自動車の免許を取ろうと、申し込んできました。
二人の心の触れ合いを描きました。
米国のインド移民は多くいますが、シク教徒はインドでは迫害されているので、難民の扱いです。
二人は中高齢者と言われる年代です。少しずつお互いのことを理解し合い、影響し合います。でもそこはわきまえていて、何も起こらないのですが、それぞれの心に得られるものがありました。
気持ちのいい映画です。