新聞の整理(2)

2010年12月28日神戸新聞証拠改ざん事件・最高検報告書(識者評論)成城大学教授法学博士 指宿信」
 新聞を整理していて見つけた。「証拠改竄事件」について検察庁の対応があまりにお粗末であった。しかしそこはそういうものだと思っていたから、フーンという程度だったが、マスコミ、ジャーナリズムが問題点の核心に近づかない、というか意識的に避けているような、権力に遠慮しているような感じで、日本社会の良識の壊滅する日が近いのかな、と思っていた。
 それがこんなコラムが在った。これはぜひとも紹介しておこうと思う。見出しは「世界標準に遠い防止策 組織防衛色濃く、限界露呈」とかなり厳しい。これは最高裁の報告を読み込んで、問題の核心を指摘していると思う。
 出だしが「最高検の検証結果報告書は全体として『内部検証』の限界と『公正な裁判の実現』に対する意欲の乏しさを感じる」とばっさりと切り捨てる。「大阪地検の一部の検事だけの問題であったと総括しているように思われる」と私と同じ問題意識である。私の思いは、自分勝手な思い込みによる偏向であるのか、と思っていたから専門家の意見を聞いて「ああよかった」というのが正直なところだ。
 そして「最高検の検証手法そのものの効果を疑わせるものだ」さらに「説明責任とコンプライアンス(法令順守)確保の具体策が示されていない」「外部からのチェックと審査が不可欠だが、言及すらない」と報告の基本的な姿勢を批判する。
 その上で正しい方向性について「立会い権を保障した上で全過程の録音・録画を前提とした制度設計をすべき」あり「検察官倫理の問題」は「第三者による懲戒制度で一緒でなければならない」。重要なことは「検察官は容疑者、被告に有利な情報を『すべて』提供する義務を追うことを明記するべきであった」と指摘する。
 証拠の改竄が「日常的に行われているのではないかと想像される」という指摘は、これまでのマスコミに載らなかった。
 「検察は、取調べから起訴に至るプロセスの『透明化』、公判担当検事の『独立性・中立性』の確保、そして『倫理と規律順守』の検証と制裁の仕組みがあって初めて、その信頼を取り戻せるものといわなければならない。道は遠い」と繰り返し明確にその方向を示す。そして市民の基本的人権を敵視する検察の姿勢を厳しく批判する。
 いいですね。