正平調

8月は[朝日]も取っていました。新聞勧誘員が来て「8月だけでも」というので断りきれなかったのです。
[朝日]は職場で読んでいましたが、自分で取るのは少し違いました。かなり小さい記事まで読みました。全体的な印象としては「プロメテウスの罠」など、国内外に渡る連載記事は充実したものがあります。社説や論説委員にみる社論は消費税賛成、TPP賛成ですが、個々の記者は違っていて、その矛盾を明らかにする足で稼いだコラムも載っています。
しかし天声人語は期待はずれでした。入試問題で取り上げられていて、文章としては優れているのでしょうが、新聞の権力批判という意味では、私は[神戸]正平調の軍配を上げます。
最近の正平調で良いなと思ったものを紹介しておきます。
9月14日はオリンピック委員会での安倍首相の言葉を捕らえた。汚染水問題に対して「状況はコントロールされている」言ったことに対し、「イタチ言葉」(イタチが卵の中身だけを食べ、殻を残す比喩として、中身のないという意味)ではなければ、被災地で語るべきであると言い切った。
9月15日は、街中の映画館の重要性に言及した。「映画館はその街の体力や懐の深さを示すもの」と明石東宝、洲本オリオン座が廃業することを嘆いた。
9月20日秋田書店の不当な懲戒解雇と闘う女性社員を紹介した。「漫画の目的というのは、風刺でしょう」という手塚治虫の言葉を紹介して、ジャーナリズムの一翼を担う出版社を強烈に批判した。ここで労働争議を取り上げた快挙に私は拍手する。