キネマ旬報増刊号「戦後70年目の戦争映画特集」

標記の雑誌は8月に販売されていたのですが、9月になって知りました。さっそく捜したのですが、すでに書店にはなくなっていて、しかたなくインターネットで買いました。
9月30日に注文を出して10月2日に届きました。便利なものです。田舎町の小さな本屋がつぶれるはずですね。
そして3,4日と集中して読み、だいたい読み終えました。ちょっと物足りないところもありますが、近年のキネマ旬報としてはとてもいい企画だったので、中身を紹介をします。
現在の政治情勢を意識した編集
第1章は「2015年夏」で、『日本のいちばん長い日』『野火』など、5本の今年の戦争映画の紹介です。それと『母と暮らせば』『杉原千畝』の政策レポートです。
『野火』がきちんと紹介されているのが良いです。塚本監督の心意気が伝わってきます。
『日本・・』が最初に挙げられていますが、スターがたくさん出ていますし、大手の配給に乗っていますから、映画雑誌としては仕方ありません。
でも主演の役所広司本木雅弘も、原田監督も「あの戦争はどんな戦争か」については語っていません。
原田監督は「『戦争終結の責任は昭和天皇が全うした』という主張の映画」といっていますが、後のコラムで家長さんが「戦線の詔勅昭和天皇自身が出していることを忘れずに見たい」に、答える映画ではないということでしょう。
第3章は「映画と戦争をめぐる10人の言葉」で『70年談話』みたいなものです。現役5人、物故者5人で、いずれもいい話です。
でもここは物足りません。戦争反対の立場を明確にして映画を撮ってきた監督ばかりです。
やはり昨年の日本アカデミー賞を独占した『永遠の0』の監督、山崎貴をなぜ入れないのか、と思います。彼が戦争に対してどんな考え方を持っているのか、聞きたいと思いました。
これからの戦争の描き方
1頁立てのコラム「戦後71年以降の戦争映画に期待すること」で8人の映画作家、ジャーナリストが書いています。いずれの論者も、その立場で、現在の政治状況を意識しながら書いています。
その一人に家長知史さんが入っていて、ずばり「永遠の0」を批判しました。
朝日、毎日の新聞記者の曖昧な評価と対照的です。
そして「映画人九条の会」の「安保法案反対」の記者会見を入れています。
いちばんがっかりしたのは第2章「日本の戦争映画」で、「日本の戦争映画史 日本映画は戦争の何を描いてきたのか」を佐藤忠男さんが書いています。何の見識もなく、ただ長くだらだらと映画のタイトルを並べただけです。
「映画が描く戦争の真実 日本映画70選」はいいデータになります。
第4章「外国映画の視点」はまだ読んでいません。