2021年1月に見た映画その1

『シカゴ7裁判』『ミッション・マンガル』『パブリック図書館の奇跡』『レ・ミゼラブル』『人生、ただいま修行中』『南山の部長たち』『コロニア』『エスケープ・ルーム』『アリ地獄天国』が1月に見た映画9本です。一度に書こうとしましたが、ちょっと長くなりすぎました。それで2回に分けます。

    これからは一度に掲載する分量は1600字をめどにしようと思います。

『シカゴ7裁判』

 実話に基づく米国映画です。1968年、シカゴでベトナム戦争に反対するデモ隊と警官隊が衝突した事件、そしてそれを扇動したとして、政治団体の責任者7人(当初8人から1人は別の裁判へ)がニクソン政権から起訴された裁判を描きます。

 西神ニュータウン9条の会HP2月号(http://www.ne.jp/asahi/seishin/9jyonokai/)に書きましたので、そちらを見てください。

『ミッション・マンガル』

 インド映画です。インドが火星に探査機を送り込んだ実話に基づくものです。マンガル(MANGAL)は火星のことです。

 月へロケットとばす計画に失敗したチームが、左遷されて、見込みのない火星担当に回されるところから始まります。この部署は予算もなく、落ちこぼれのような研究員(女性が多い)を集め、使われていない研究所の施設に机など設備を揃えて、研究を開始します。いろいろあって、計画は成功してめでたしめでたしです。

 インドがアジアでは宇宙開発の先駆者であったとこを知りました。そしてなにより、宇宙開発研究機関で働く研究者に女性が多いのに驚きました。高学歴理系女性が進出しています。

しかも、この映画の主人公は、結婚して子供も産み育てながら、一家の主婦として家庭内を切り回して、働き続けて主任クラスの業務を担っています。ヒンズー教徒やイスラムが多く、宗教の影響も大きい国ですが、このような女性の活躍もあるのが、日本とちょっと違う感じです。

『パブリック図書館の奇跡』

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 オハイオ州シンシナティを寒波が襲います。ホームレスに凍死者が頻繁に出る状況です。市の避難シェルターは数が足りません。日常的に公共図書館を使っていたホームレスたちは、図書館の閉館時間が過ぎても出ていかず、図書館に立て籠もりました。

 最初は脅かされて従っていた図書館司書も、積極的にホームレスの味方になっていくという映画です。

 米国で実際にあった話をもとに作られています。

色々とても面白い視点があります。情報に接する権利は万人にあり図書館はホームレスであっても保証し、排除しません。司書も元ホームレスであったことも味噌です。市民受けを狙う現職市長と、次期市長を狙う地方検事の思惑(秩序が大切)が対比的です。しかし両方ともホームレスの凍死には関心が低い、と批判します。

報道するテレビ局もいい加減で、勝手にストーリーを作って放送しています。

包囲する市警の責任者の息子がオビオイド中毒でホームレスになっている、とあります。オピオイドという「鎮痛剤」で死者が出ていますが、映画では初めて聞きました。

社会派でコメディと言う面白い映画でした。映画の冒頭に、司書がホームレスから告訴されて、図書館運営委員会から懲戒処分されるシーンがあるが、全編の複線のように思いますが、でも鋭さに欠ける感じです。

レ・ミゼラブル

 パリの郊外。移民や難民たちが多く住む地域を描く映画です。

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映画の冒頭は、フランスがサッカーのワールド大会で優勝し、市民が大通りで喜び騒いでいるシーンです。白人も黒人も一緒で「ワンチーム」のようです。

場面が変わってモンフェルメイユ、移民難民が多く住み、犯罪が多い町と警察が認識し、特別チームの警官3人が毎日パトロールしています。

 ここにやってきたロマのサーカス団の子どものライオンが盗まれます。団長が警察と、この団地を仕切るいくつかのグループに接触してライオンを返せと脅しをかけてきます。

 捜査は現代的ですSNSで検索を掛けると出てきました。盗んだ人間は「きっと自慢する」ということで、いたずら小僧が捕まりました。小僧は団長からライオンの檻に放り込まれる、と言うきついお仕置きを受けました。

 これで終われば良かったのですが、彼は仲間とともに警官をからかって、ゴム弾を顔に受けて意識不明に陥ります。しかもそれを少年の仲間がドローンで撮影していました。

 そのSDカードを手に入れるために警官チームは、あらゆる手を尽くします。

 映画は、その顛末を通じて、この町にあるグループの縄張り争い、3人の警官の出自、考え方の違いもきちんと描きます。

 そしてラストは、少年グループが警官3人に罠を仕掛け、この町を支配している輩をも巻き込む暴力が広がります。生き死にまで至るようなところで結果を見せずに幕が下りました。

 今までの市民映画劇場で見てきたフランスと違って、絶望的な状況が前面に出てきます。経済格差からくる将来を夢見ることのない少年たち、治安維持の暴力を是認する警察機構、

反社会的であっても生き抜くためのコミュニティ。まさにレ・ミゼラブル(悲惨な人々)です。

『人生、ただいま修行中』

 例会です。フランスの看護学校の学生たちを撮ったドキュメンタリーです。彼らは学校で学び、実地研修として病院に行って患者を看護します。

 後半3分の1は指導教官と学生の面接です。これが面白かったです。フランス人らしく生徒の人権を認めたうえで、彼らが実習で経験したこと悩んだこと嫌だったことも含めて、彼らと話し合って報告書を書くという作業です。

 様々な経験談、思いが出されますが、印象に残ったのは、能力が低いと言われて、この仕事をすることに自信を無くしている女性です。