『家族の庭』

 宣伝のコピーとかポスター等のイメージ、あるいは邦題、公式HPとは違います。とても辛らつで、心をえぐるような映画でした。それは決して悪いという意味ではなく、人の心の内を見せているという映画です。

 ラジオで言っていました。気持ちはこうだけれど、心は違うというパターンが人間だと。例えば、東北に支援をしないといけない「気持ち」はあるけれども、心は安全なものを買う、という具合です。
 仲のよい夫婦を中心に友人たちも自立しています。二人は休日を市民菜園ですごし、ゆっくりとした生活をすごしています。そして息子に恋人が出来たり、順風満帆の人生です。


 ところが、一人、自分を省みることなく、「いい人生」を追い求める女友達がいます。彼女は、勘違いの人生を送っているし、その勘違いのまま、この家族に助けを求めすがり付こうとします。
 でもそれは出来ない相談です。なぜなら彼女は近しい友人であって家族ではないのです。


 ラストはなんとも辛い展開になりますが、それでも彼女は次にすがる相手を見つけたようです。
 原題「another year」を直訳すれば「もう一つの年」となるのでしょうか。主人公トムとジェリー夫婦の一年と違う一年を過ごしたメアリーです。そんな2つの物語が、庭の四季に折り目をつけて広がります。