演劇鑑賞会12月例会『フレディ』

 12月12日、今年一番安心してみていられる芝居でした。そんなに社会的でもなく、腹を抱えて笑うのでもなく、鋭い人間観察があるでもなく、しかも「天才クラウン」という主人公の設定がありながら、その芸を見せるでもなく、ミステリー仕立てでありながら、それほど謎があるわけでもなく、中途半端といえば中途半端ではありますが、ほどがよかった、ということでしょう。



安原義人、田村三郎の主演男優の演技も大げさでないものの、ちょっとしたギャグは誇張するし、彼らを取り巻く人々もコメディタッチで、声もよく通っていました。
 ストーリーを簡単に紹介すると、サーカスの責任者、天才的クラウン・フレディは、不人気で経営困難となったサーカスを維持するために高利貸しを訪ねた。しかし金策に成功せずに帰っては来た。
 その直後、高利貸しは何者かに殺された。フレディに容疑がかかったが、考えた挙句、彼は「犯罪」を認めた。裁判があり、その高利貸しの非道とフレディの人気で情状酌量、無罪となった。そしてその一部始終が宣伝となって、フレディのサーカスは大人気となった。
 物語はそこで終わらず、フレディが「犯人ではない」ことを知っている人物が脅迫に現れ、それでは真犯人は誰だと、展開していく。
 そんな本筋と平行して、父と息子、サーカスを生きがいとする人々、出世主義の警官など色々と出てくるが、芝居はうまくまとまっていく。
 あちらこちらで小技が利いて楽しい芝居でした。