阪急阪神ホテルズのレストランが7年半に渡って、食材の偽装を行っていたと報道があった。そして10月24日付けの余録、天声人語、正平調がそろって、批判した。
世論全体として、この問題には、強い関心があるのだと感じた。
私も食べ物には強い関心があるし、おいしいものにはそれなりのお金を払うという気持ちもある。その気持ちを踏みにじる一流ホテルの偽装に手を貸した料理人の良心に対して、怒りよりも悲しくなる。
長年にわたる修業によって技術を磨いてきた職人に対して、私は尊敬の念を持ってきた。一流の料理人は特別の能力を持っていて、同時に、その技術は、自分が作る料理の良心であると信じていた。
全国チェーンの居酒屋は料理人が作っていないと思っているから、あそこのメニューはほとんど信じてはいない。安すぎる料理には当然リスクも感じている。だから私はそういう店には極力行かない。
2007年に次々と明らかになった食品偽装は、企業の利益追求に、現場の労働者が偽装を強いられたと思っていた。だからあの時は強い怒りを感じた。
今回は悲しみだ。
食べ物に強い関心があるのはいいことだと思う。もっともっと関心を持つべきで、産地や食材の偽装だけではなく、遺伝子組み換え食物に対してももっと関心を持った報道をしてほしいと思う。