2019年7月に見た映画

『家族にサルーテ:イスモア島は大騒動』『COLD・WARあの歌-2つの心』『ニューヨーク公共図書館』『万引き家族』『運びや』『ハバールの涙』6本。ちょっと少ないですが寄席に2回も行ったし平和大行進、自治体学校と他の用事があったので映画に行く日が減りました。

 数は少なかったですが、それぞれに特色あるいい映画を見ることが出来ました。

『家族にサルーテ:イスモア島は大騒動』は地中海の小さな島で老夫婦が自分の子ども、孫たち、兄弟、甥姪など一族を呼び寄せて金婚式、ところが悪天候のために1泊2泊とするといろいろと軋轢が表面化するという、ありがちな話。

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 息子の現嫁と元嫁とか、従兄弟同士などややこしい関係は、もともと色々な間問題を抱えているから時間がたてばややこしくなってくる。乾杯だけならよかったのに。

 「鶴瓶の家族に乾杯」などのように短時間ならお互いにいい顔が出来るが、裏に回れば違う。

 でも結構楽しみながら見た映画です。

『COLD・WARあの歌-2つの心』は戦後のポーランド、お互いが惹かれ合っている音楽家と歌手の恋愛物語。男は西側に亡命し、数年を置きながら二人が再会するという話。亡命する男が主人公だから少しは政治的な面も見せるが、彼は音楽家として自由に活動したいということだろう。

 民族系のいい音楽だと思うが、それでは嫌だということなのか。

 当然のように東欧社会主義国は人権が抑圧されているという批判も含まれるが、それほど露骨には見えない。日本の職場の方がひどいし社会一般でもある。

 実態ではなく、根底に民主主義を肯定する法制度かどうかが問題なんだろう。

 字幕として出てくる年に、政治や社会的な意味があるのか、私は知らない。会う節目節目に男も女も変化しているが、それはなぜかわからない。評判はいいようだが私は思わせぶりが多くて好きではない。

『ニューヨーク公共図書館』は良かった。何がよいかと言えば知識と公共性、民主主義を考える材料が多く提供されているから。西神ニュータウン9条の会HP8月に短い紹介文を書きます。

万引き家族は2018年の是枝監督のカンヌ映画祭グランプリ作品、再見です。貧しい偽家族、普通の血縁関係のある家族ではない、諸事情によって集まってきたが、いわゆる正業に就いてあまり真面目に働かず子どもも含めて万引きとかもやりながら生きている家族。

 よく出来た話だと思うし私は好きな映画です。最初に見たときも色々考えましたが、きっと「映画批評」誌で長い批評を書きます。

『運び屋』はC・イースドウッド主演、監督、評判はいいようだが、私は評価しない。90歳の麻薬の運び屋が主人公で、前科もなく高齢ということが警察の盲点になって見つからずに、組織の命令に従って大量の麻薬を運び続けて大金を稼ぐ。

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 C・イースドウッドは麻薬に対して厳しい批判をしていないのだろう。映画全体に罪悪感がないようだし、麻薬を否定する論調は出していない。

 広い意味で家族の再生だが、麻薬について無神経すぎる。

『ハバールの涙』は市民映画劇場7月例会。ISに夫を殺され息子を拉致され、自身は性奴隷にされた。そこから逃げて、今度は女兵士としてISと戦うという。そういう女たちは大勢いると言う、実話を元にした映画。

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 戦闘シーンが多く、緊迫した画面で見るのがつらいと言う意見もあります。実際に上映の途中で出てきた人もいます。

 私はそうでもありません。血が出て腕や首が飛ぶというリアルな映像がないため、私的には耐えられました。

 映画には描かれていないけれども、女性たちに対するひどい仕打ちを想像して気分が悪くなるようです。

 映画は過去を行き帰りしながらですが、現在はISを壊滅させる少し前、という設定です。だんだんISを追い詰めて勝利を得ると言う流れでした。

 でも映画自身は説明的ではないので、自ら考えたり調べたりしないと分からない部分が多くあります。本当は感動的な映画ではありません。

 彼女たち、クルド人、その中の少数派ヤズディ教のコミュニティ、女たちの位置、ISとの関係、被害者の女性が兵士となって闘う、その選択をした動機、自衛、復讐なのか、考えると難しい映画です。

 評判になっている『新聞記者』は未見です。8月に見ようと思います。