『米軍資料から見た神戸空襲』2021年12月5日 講師:松本泉

 新長田文化センター別館ピフレの会議室です。約80名来ていただきました。

 

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 「活動報告です。」

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松本泉さんの講演

 米国の公文書館から公開された米国戦略爆撃調査団文書を国会図書館が購入して、順次公開していて、それを丹念に調べた結果のお話です。

 空爆は、軍事基地や軍需工場あるいは駅舎などの特定施設を狙う精密爆撃と、軍事関連施設とは無関係に敵国の戦闘意欲を削ぐために行われた、国際法違反の無差別爆撃の2種類あると思っています。

 日本への空襲は、サイパンなどマリアナ諸島が米軍に奪われて以降から本格化します。最初は精密爆撃でしたが、これでは効果が薄いと、カーチス・ルメイが責任者になって以降、人口密集地への無差別爆撃を開始したと思っていました。

 今回の話を聞いて、米軍の戦略はもっと緻密であったことを知りました。

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密集住宅地を狙い撃ち

 日本の家屋を効果的に焼失させる焼夷弾を開発し、大都市への空襲を繰り返して、その検証、分析を行ってより「効果的」空襲の手法を確立していきます。

神戸は実験台

 神戸が無差別爆撃(一般住民への効果的、選別的な爆撃)の実験台として使われたことがよくわかりました。

 19453月に実施された東京、名古屋、大阪の空襲と比べて、神戸は大規模です。来襲したB29と投下焼夷弾、焼失面積1㎢当たりの焼夷弾は以下のようです。

 310日 東 京 279機 1665t  38

 312日 名古屋 285機 1739t 328

 314日 大 阪 274機 1732t  82

 317日 神 戸 306機 2328t 302

 319日 名古屋 290機 1857t 244

 油脂焼夷弾エレクトロン焼夷弾、破片爆弾などが投下されています。その成果を基に全国の都市に空襲を仕掛けました。

 米軍は戦闘状況について、細かい事項も含めて現場からの報告を出させ、それを整理はしていないものの、廃棄せずに残しています。

 「機銃掃射の場所はわかるか」という質問に対し、「調べればわかる」と松本さんは言いました。たしかに機銃のところにガンカメラをつけていますから、標的がなんであったかもわかります。

番外で

 講演の後で、松本さんを囲んで、お茶を飲みながらいろいろな話をしました。率直な意見交換でとても面白かったのですが、ここには書けないこともあります。

40歳ぐらいところで「溝がある」といいます。新聞記者の中でも、働き方、取材方法などで年齢的なギャップがあるようです。

・米軍の資料は、英語が読めないから時間がかかるが、まとまった報告よりも、兵士が直接書いたメモのような第1次資料が面白い。

東京新聞の望月記者にはあまりいい印象を持っていない。彼女は記者会見で過激な質問をするが、独自の調査していない。後の記者もついてきていない。いい質問にはフォローがあるものだ。

豊中市の平和資料コーナーは、あまりにも貧弱なので「恥ずかしい」と批判した。

平和運動等、大阪より神戸に活気を感じる。中田さんにはよく教えてもらった。今日もたくさん集まった。