2022年4月に読んだ本その2

『デフ・ヴォイス/丸山正樹』『世界4月号』『前衛4月号』を書きます。

『デフ・ヴォイス/丸山正樹』

 『デフ・ヴォイス』シリーズの第1作です。さすがに面白いミステリーでした。

 CODA(children of deaf adults、聾啞者の両親から生まれた耳の聞こえる子ども)である荒井尚人を主人公にして、彼の元警察事務官の特性、そこを辞めざるを得なかった理由、手話通訳士となっていく経緯、そして家族関係なども上手に設定していて、とてもよくできたミステリーになっていました。

 聾啞者の気持ちも日本手話、日本語対応手話の違い(日本手話は日本語は独立した言語、「対応」手話は日本語にリンクしている。その対立も小説に出てきます)を知ることもできました。

 噺の中心になるのは時を隔てた二つの殺人事件でした。そこに聾唖者が絡んでいて、荒井が通訳に依頼されることから始まります。 

 丸山正樹を知らなかった人は是非読んでください。

『世界4月号』

【世界の潮「『教員不足』初の文科省調査を読む/氏岡真由美」】

 文科省が調査(初めてとは驚き)して、4月初めに全国で教員が2558人が不足していることが報告された。さらに学期が進むと増えていくし、実態はもっと厳しいという。

 「教員不足」をメディアが取り上げたのが2008年ですが、文科省はこの間、動かなかった。

 このようになったのは「規制緩和」で、自治体の教員採用が正規よりも安い非正規を雇いやすくなって、「市場」に欠員を補充する「候補」が減っているという。

 根底には、大阪府市が典型だが、あまりにもひどい締め付けと、業務量の激増で教員という仕事に魅力がなくなくなっているということだと思う。 

片山善博の「日本を診る」149 法律を読まない、法律が読めない法治国家

 表題のとおり公務員、官僚さらに国会、マスコミに対する厳しい批判です。コロナ対策とデジタル化に対する、政府のお粗末な対応を厳しく批判しています。

 片山さんの指摘通り、コロナの特措法の緊急事態宣言のエリアが市町村の一部から決められるのに、いつも都道府県単位なのがおかしいと思います。

 神戸、阪神間と但馬や西播の山奥の市町村が同じなのはおかしいです。片山さんは「法律が読めない」といいますが、何か別の要因があるのでは、と思いました。

『前衛4月号』

【座談会:コロナ禍でうきぼりになる「女性の貧困」―「女性による女性のための相談会」で示された連帯/雨宮処凛、清流美和子、寺園通江、藤原朝子

 私が男であり、仕事も労働組合も男中心に回す環境に身を置いてきたためか、女性に対する配慮が足りないことは、指摘もされ自覚も多少しています。

 この座談会を読んで、まだまだ知らないことが多いし、もっと配慮がいるなと思いました。

 単純化していえば、日本は男女格差が非常に大きい国という指標があるのに、私の身の回りにもそういう事例がたくさんあるのに、私も含めて多くの男は、気づいていないということです。

 4人の女性が「相談会」を振り返って感想を言っていますが、社会の矛盾が浮き彫りになった様子が出ています。

 コロナ禍で、もともと非正規雇用が多い女性の生活が苦しくなっていること、男と女の家庭や職場での違いを見ていない政治、法制度などが指摘されています。